悶絶必至の猫野球マンガ! 史上初の“猫ピッチャー”、試合後は専用ケージで帰宅

マンガ

公開日:2015/5/7

 プロ野球セ・リーグの「横浜vs広島」の試合中に、猫がグラウンドに乱入するという珍騒動が話題となった。以前から横浜スタジアムには猫が多いというが…キャッと驚きのスーパーピッチャーがプロ野球“セロリーグ”に登場した!! その名もミー太郎、白猫・オス、1歳、背番号222!! プロ野球史上初の猫野球選手の戦いの日々を描いた『猫ピッチャー』(そにしけんじ/中央公論新社)は、燃えてもだえる本格派「猫野球マンガ」だ。

 どうせ猫が可愛いマンガでしょ? と思ったらその通り!! ミー太郎の仕草や行動がいちいち可愛い!! 『猫ラーメン』『猫探偵』『ねこねこ日本史』など猫マンガを数多くてがけてきた作者そにし氏の猫愛あふれる描写は本作でも健在。だが、ただ可愛いだけではない。舞台はあくまでもプロ野球。ミー太郎はマウンドに立ち、ライバルたちと激しい戦いを繰り広げていくのだ! 一体、どんなドラマが待ち受けているのかニャ?

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挑発に乗って直球勝負! 逃げるのは大嫌いなミー太郎

 猫野球選手・ミー太郎は、球種はストレートのみだが、148km/hの速球を放つ強い肩と正確なコントロールが持ち味だ。しかも、とにかく可愛いので、猫好きな野球選手たちは、ミー太郎と対決するとふにゃふにゃしてしまい、全然打てなくなるのだ。気持ちは良くわかる!! バッターボックスに立てば、その小さな身体が武器となる。ストライクゾーンが狭すぎて、相手ピッチャーの投球はことごとくボール。ほぼ100%のフォアボールと出塁率も抜群!! フォアボールで出塁したミー太郎はランナーとしても一流だ。猫のダッシュ力を活かし、リードなしで楽々盗塁してしまう。所属チーム「ヨリウミ ニャイアンツ」の井狩監督が「100年に1人の逸材」として連れてきたのもニャットクだ!

ミー太郎を優しくリードする平野キャッチャーも人気キャラ

 そんなミー太郎の活躍をライバルチームが黙っているはずがない。「ハヤイゾ タイヤーズ」は「犬好きバッターだらけのラインナップ」を揃えてミー太郎をパカパカ打ち砕く。「浜辺ベニスターズ」は「ヒモ好きな猫の習性」を利用して、スパイクのヒモをほどきヒラヒラさせてミー太郎の気をそらす作戦を敢行!! セロリーグとパセリーグの交流戦では「ローストマローンズ」に強敵出現!! ネズミみたいな顔をした真臼選手(まうす・笑)を見て、ミー太郎は戦闘本能むき出しで野球どころではなくなってしまう。「シマシマケープ」は、ミー太郎の投球時の「しっぽの動き」でサインを見抜いて来る。まさに『ドカベン』でも描かれそうな野球らしい展開だ!!

猫の特性を活かした魔球もバリエーション豊富に登場

 また、ポカポカと太陽が温かいとベースの上で眠ってしまったり、ピッチャープレートが相手選手のスパイクでザラザラすると落ち着かなくなったり、人工芝球場では足裏がチクチクするから苦手だったり…猫だからの弱点が、ミー太郎とニャイアンツをジリジリーと追い込む。だが、バッテリーを組む平野キャッチャーとの魔球開発、井狩監督の名采配、玉見コーチの「犬耳付きキャップ作戦」など、仲間と協力し合ってミー太郎は成長し、ライバルたちと名勝負を繰り広げて行くのだ。

ポカポカいい天気なら試合中でもお昼寝。猫ですから

 最新の第3巻では「消える魔球」「消えちゃう魔球」「止まる魔球」「180度回転魔球」なども登場する。どんな魔球なのかはぜひ本書を読んで確かめて「可愛い~!!」と悶絶していただきたい。
 そして、戦いを終えたミー太郎は専用ケージに入り、飼い主の女子高生ユキちゃんの自転車で帰路に着く。

 プロ野球のシーズンはこれからが本番。応援するチームが負けてクサクサした日には、『猫ピッチャー』を読んで、次の試合に気持ちを切り替えよう。キット明日はカッツ! そして、勝ったときには喜ぼう「よっシャ!!」と。

文=水陶マコト

猫ピッチャー』(そにしけんじ/中央公論新社)