アダルトラノベの雄・キルタイムコミュニケーション【編集長インタビュー】

アダルト

2015/5/8

   

 創刊以来、ゆるがぬ姿勢でエッチな小説を世に送り出し続けているのがキルタイムコミュニケーションだ。「小説家になろう」の男性向けサイト「ノクターンノベルズ」掲載作品を書籍化した「ビギニンズノベルズ」レーベルも昨年2月の創刊から好調を維持。岡田編集長にそのノウハウを直撃!

アダルトでもキャラの魅力は最重要ポイント

――キルタイムコミュニケーションから刊行されているアダルト小説は「エロライトノベル」「Hライトノベル」「官能ライトノベル」と呼ばれることもありますが、創刊時からライトノベルは意識されていたのでしょうか。

岡田:弊社が最初にアダルト小説レベール「二次元ドリームノベルズ」を創刊したのは1999年の夏になります。当時はとくにライトノベルを意識したということはなかったです。実際あまり読んでいなかったので……。このレーベルでは『戦うヒロインが陵辱される』ストーリーがメインになっています。その頃のHライトノベル市場は美少女ゲームのノベライズが主流で、オリジナル作品があまりなかったんですよ。だから「自分が読んでみたいから」という理由で企画書を出したら通ってしまって。弊社はゲームやパソコンの批評系雑誌ばかり出している出版社だったので「まさか」という感じでしたが(笑)。

 その後、2004年に「二次元ドリーム文庫」、2008年に「リアルドリーム文庫」、2009年に「あとみっく文庫」、昨年2月に「ビギニンズノベルズ」というレーベルをそれぞれ創刊していきました。

――アダルトゲームやアダルトアニメにはない、小説ならではの魅力はどんなところにあるとお考えですか。

岡田:ヒロインの心理描写、堕ちてくまでの葛藤などをじっくり味わえ、読者のそれぞれの妄想力でエッチシーンを脳内で好きなだけ膨らますことができるところだと思います。人気の傾向としては“ラブラブなエッチ”を描く『二次元ドリーム文庫』が比較的に売り上げが良く、ハーレム、生徒会長、ツンデレ、マゾなヒロインに人気があったのですが、最近は趣向が細分化して、あまり傾向が読めなくなりました。以前は男が不在である“百合もの”がタブーだったのですが、試しにやってみたらそこそこヒットすることもあり、作品のジャンルの幅は広がってきた気がします。

 ライトノベルなどと共通するのは、やっぱり“キャラクターの魅力”を大事にしていることでしょうか。読者もできるだけかわいくて魅力のある女の子のエッチシーンが読みたいので、そこをおろそかにすると「結局、みんな同じような子ばかりじゃないか」ということになってしまいます。ですから、エッチシーンの前の段階でのキャラ作りをしっかりすることを心がけています。

ラノベ読者も引き込んだウェブ小説の書籍化

――近年、ライトノベル業界では20~40代の読者に向けた「ライト文芸」「キャラ文芸」といったジャンルが増えてきています。アダルトラノベでもそういった傾向はあるのでしょうか。

岡田:ライトノベルもアダルトラノベも大きく分けたときに「オタク向けコンテンツ」に含まれると考えたら、多少は読者も被っているかと思いますが、ラノベ市場とアダルトラノベ市場はあまりリンクしてないかと思います。ラノベ読者でも、こういった小説を読まない人はまったく読まないのでしょう。今まで何度かラノベ読者を引っ張ってこようと画策してきたのですが、あまり手応えがなかったです……。ただ、読者アンケートを見ると、同じようにだんだん年齢層が上がってきていて、若い読者が入りにくくなっている気がします。読者層の高齢化はライトノベル市場とリンクしているかもしれません。

――そんな中で昨年2月に創刊された『ビギニングノベルズ』は「小説家になろう」の男性向けサイト「ノクターンノベルズ」掲載作品からの書籍化で、かなり好調と聞きました。

岡田:お陰様でほとんどの作品に増刷がかかっております。実際に「ノクターンノベルズ」の作品を読んでみる前は、やっぱりアマチュア作家の作品だから話の作りなどに甘いところもあるんだろうなと思っていたのですが、いざ蓋を開けてみたら、みんなレベルが高くて驚きました。毎日閲覧者からの評価を付けられているだけあって、何がウケて何がダメなのかを熟知されているんでしょうね。読者が望んでいる展開をしっかり考えて書かれています。

 そんな中で、実際に書籍化する作品は、エッチ度や文章力も大事なのですが、『読み応えのある作品』をメインに考えて選んでいます。ネットで無料で読めるコンテンツですので、読者が「手元に1冊置いておきたい!」と思わせるような作品ということですね。

 これまで刊行した作品のアンケートの返信を見ると、弊社のレーベルを購入したことがないという方も多く、ここにきてはじめてライトノベルをよく読む読者層を取り入ることができたんじゃないかと思っております。

――レーベル数、作品タイトル数ともに業界内では大きな存在感を示されていますが、キルタイムコミュニケーションの強みはどんなところにあると思いますか?

岡田:ありがとうございます。売り上げの面は他社さんと比べるとそれほど強くはないのですが(笑)。ただ、強みといえばフットワークが軽いところでしょうか。「このジャンルが流行りそう」「このネタはニッチだけど自分が好きだからやってみよう!」と思ったことをすぐ書籍化してしまうところがありますので。今後もそんなフットワークの軽さを活かしてさまざまな作品を刊行するので、興味を持たれた方はぜひ手に取ってみてください。


【キルタイムコミュニケーション公式サイト】

【BOOK☆WALKER ビギニングノベルズ作品一覧ページ】

取材・文=橋富政彦