東京ではなく北海道を選んだ理由 TEAM NACS 森崎博之インタビュー

芸能

2015/5/14

  • TEAM NACS

『ダ・ヴィンチ』2015年6月号では3年ぶりにTEAM NACSを総力特集。同特集では、NACSメンバー全員にインタビューを敢行、メンバーからメンバーへの推薦本を紹介するほか、第15回本公演『悪童』について聞いている。

 ここでは、リーダーの森崎博之へのインタビューを一部紹介しよう。

 今回、本誌で3年ぶりにTEAM NACSを特集するにあたり、ウェブで“好きな公演”のファン投票を募った。1位に輝いたのは、2007年の『HONOR〜守り続けた痛みと共に』。この結果を森崎に伝えると、「ちょっと……言葉にならない嬉しさがありますね」と、噛みしめるように、喜びを語った。

「思い返すと、この『HONOR〜』はNACSの名刺代わりになるような代表作を作ろうと思って書いたものなんですよね。ローカル劇団の我々が全国公演するにあたり、北海道からやってきましたというのが、一発で分かるようなお芝居にしたいなって。だから、北海道への思いをつらつらと書き綴ったのですが……これが1位になるとは。ちょっと意外でしたけど、素直に嬉しいです!」

 当時を振り返り、森崎は「一番辛い思いをした公演ではありましたが、これほど自分を成長させてくれた作品もないんです」と話す。「辛かったというのは、メンバーとの間がかつてないぐらいギクシャクしたから。思い出すと吐きそうなんですが……(苦笑)」

 TEAM NACSが東京や全国で活動するようになったのは2004年。それから3年の間に、メンバーたちはどんどん映画や舞台、テレビドラマといった“外の仕事”をこなすようになっていった。「『HONOR〜』は、本公演としては約1年半ぶりだったんです。ただ、外でたくさんの経験を積んできた彼らには、僕が書くホンに物足りなさを感じたのかもしれません。それでもみんなは、僕にたくさんの意見をくれました。『こうしたらもっと良くなるんじゃないか?』って。けど、僕にそれをまとめるだけの能力がなかったんです。そうしたなかで、お客さんに見せられるレベルのものを作りたいという一心で、みんなで一生懸命になって。正直言って、辛かったです。しんどかった。でも、それは僕だけじゃなく、メンバーも同じ気持ちだったと思います」

 少しずつ生まれていくメンバーとの経験値の差。これを、当時の森崎は日を追うごとに感じていたという。それならば、彼自身もメンバーと同じように東京での仕事を増やしていくという選択肢はなかったのだろうか?

「僕もあの頃、少しずつ東京でお仕事をさせていただくようになりました。でもその時、漠然と思ったんです。“このまま、僕もこうして東京で役者になっていくのかな?”って。僕はお芝居が大好きです。でも僕は、北海道の劇場でお客さんを満員にするということが学生時代からの目標だったから、東京に出てドラマや舞台の仕事をするというのとは、ちょっと違っていたんですね。そんな戸惑いも少し感じていた頃に“HONORショック”が起きたんです。あ、“HONORショック”というのは、先ほどお話ししたメンバーとの間のギクシャクした関係のことで、今、急に思いついて名付けました(笑)。

 そして、そのショックをなんとか乗り切ろうと頑張っていた矢先に、ある方から言われたんです。『あなたはブレずに、ドンとメンバーを支える存在でいなさい』って。さらに同じ頃、北海道で『あぐり王国』のレギュラーも始まった。その結果、僕は、メンバーとは別の仕事をしたほうがNACSとしての幅も広がるんじゃないかと思い、北海道に身を置くことに決めたんですよね」

 とても大きな決断だ。しかし、この選択をしたことにより、森崎の中でリーダーとしての在り方にも変化が生まれていったという。「それまでは、みんなを引っ張っていくのがリーダーの役割だと思ってました。でも、学生の頃のままのようではうまく行かないですよね。そこで、思ったんです。みんなをまとめたり牽引するのは、それが得意な人間がやればいい。代わりに僕は、この集団を一番深く愛する人間になればいいんだと。話し合いが上手くいかず、メンバー同士が険悪な雰囲気になった時でも『俺、こういう(険悪な)時間もいいと思うな!』と笑って言えるようになりたい。それってちょっとリーダーっぽくないですか?(笑)。『よぉしもっと本音で語ろうぜ!』って。まぁ、自分で言っててちょっと鬱陶しいんですけど(笑)、そうやって5人でいる時間をどんな時でも愛せる存在になろうと。鬱陶しいと思われても、それが僕の役割なんじゃないかなって思うんです」

取材・文=倉田モトキ/『ダ・ヴィンチ』6月号「TEAM NACS」総力特集より一部抜粋

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<公演概要>
TEAM NACS 第15回公演『悪童』

脚本/古沢良太 演出/マギー 
出演/TEAM NACS

廃墟に集まってくる5人の男たち。幼なじみである彼らは、ある計画を企てていた。彼らにはやらなければならないことがあった。それがどんなに恐ろしいことであっても……。彼らは、みな、悪童――。

●TEAM NACS 第15回公演『悪童』公演日程
【大阪公演】7月15日~20日:森ノ宮ピロティホール
【仙台公演】7月22日・23日:電力ホール
【盛岡公演】7月25日・26日:盛岡市民文化ホール
【札幌公演】7月30日~8月2日:わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
【名古屋公演】8月5日~9日:名古屋市公会堂
【新潟公演】8月13日~16日:新潟テルサ
【福岡公演】8月19日~23日:キャナルシティ劇場
【東京公演】8月26日~9月6日:EX THEATER ROPPONGI

詳細は⇒TEAM NACS公式サイト

ダ・ヴィンチ

『ダ・ヴィンチ』2015年6月号

KADOKAWA 定価650円(税込)

・第1特集 TEAM NACS総力特集
森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真
マギー×古沢良太
・第2特集 朝井リョウのいま
高橋みなみ×朝井リョウ