猫の目から見た猫の家とは? 猫と人の理想的なくらし 『へぐりさんちは猫の家』

文芸・カルチャー

2015/5/14

猫と暮らす皆さまが、誰しも気になるもの。それは「猫の気持ち」ではないでしょうか。猫がご飯を食べるとき、キャットタワーに登るとき、外に向かってカカカカカと威嚇するとき、猫ベッドに丸まりながらひなたぼっこをしているとき、飼い主に向かってニャーゴと叫ぶとき…。言葉の通じない(通じているとしか思えない瞬間もありますが)猫の気持ちを感じ取るのに必要なのは、やはり「観察」でしょう。それは人間を相手にするときと、ちっとも変わりません。

さて、今回紹介する猫本『へぐりさんちは猫の家』(廣瀬慶二/幻冬舎)は、タイトルだけを見れば、猫15匹の猫、5匹の犬、そして3人の人間が暮らす家の建築を手がけた廣瀬慶二さんによるその顚末記…、と思ってしまいがちですが、ちょっと違います。その実は、類まれなる観察眼を持った建築家が、猫を観察対象にするとこうなる、という本です。人の目を通して「猫の家」を見るのではなく、「猫の目から『猫の家』はどう見えているかがわかる」と言えばわかりやすいでしょうか。

ものを作る人、何かを成し遂げた人に対しては「大変だったこと・苦労したこと」を質問しがちです。なぜならば、困難は必ずあるもので、しかもそれはドラマチックなストーリーを見いだしやすいから。でも、この本で「へぐりさんち」を作る苦労を語る部分は、たったの一節(図面の量が100枚を突破したとのことで、かなりの苦労だったと察せられますが)。全編にわたってつづられるのは観察によって気づかされる「猫の気持ち」なのです。

そうしてできた「へぐりさんち」は、猫の家であると同時に、人にとっても住みやすい家。「猫のため」は「人のため」、「人のため」が「猫のため」。ともに暮らすとは、こうでなくちゃいけないと、気づかせてれくれる一冊です。猫の家を作るところまでは行かずとも、一緒に暮らす猫の気持ちをもっとよく知りたい、と思う人にも、そのヒントが詰まっています。

文=猫ジャーナル