ブッダを英訳すると「Awakened One」!? イケメン僧侶・大來尚順×コラムニスト・辛酸なめ子の『英語でブッダ』トークショー

文芸・カルチャー

2015/5/23

〈不可思議〉〈世間〉など日常用語になっている仏教用語もある一方で、概念的で難解、うまく説明できない仏教用語はたくさんある。たとえば、〈仏陀〉とはどんな人? 〈諸行無常〉ってどういう意味? 〈往生〉って死ぬって意味だよね? ……などなど。

日本で最もメジャーな宗教でありながら、実はよくわかっていない。そんな仏教に関する用語が「英語にするとわかりやすい」と気づいたのは、浄土真宗本願寺派僧侶であり、翻訳・通訳家でもある大來尚順(おおぎ しょうじゅん)さん。

仏陀=Awakened One(目覚めた人)
諸行無常=Everythig is changing.(物事は常に移り変わっている)
往生=Birth in to tha Pure Land(仏の国に往き生まれること)

これは目からウロコ! むずかしい単語がひとつも使われていないため、意味するところがシンプルに伝わってくる。意味がわかると途端に身近に感じられる仏教。そんな英訳の数々をまとめて『英語でブッダ』(扶桑社)に著した大來さんと、英語習得奮戦の模様を『なめ単』(朝日新聞出版)として発表した人気コラムニストの辛酸なめ子さんとのトークショーが、5月16日に東京・下北沢の「本屋B&B」で開催された。仏教から英語学習法まで、幅広く展開されたトークをダイジェストでお届けする。

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辛酸なめ子さん(以下、辛)「これは英語圏の方に仏教を伝えるために書かれた本なのですか?」

大來尚順さん(以下、大)「京都の大学に在学中から海外で学びたいという思いがあり、カリフォルニア州にある米国仏教大学院(Graduate Theological Union/Institute of Buddhist Studies)とハーバード大学神学部で仏教学を学びました。そこで仏教の思想を英語で説明するうちに、“この教えは、英語のほうがスッと頭に入ってくる”
と気づいたんです。帰国後、仏教やお寺の取り組みを一般の方により身近に感じてもらおうと活動する〈寺子屋ブッダ〉さんで『英語から考えるブッダの教え』という講座を開き、この体験を多くの人とシェアする活動をはじめました。だから、伝えたい相手は主に日本人ですね」

「往生を“Birth into the Pure Land”と英訳されていますが、このPure Landはheavenとは違うんですか?」

「これは〈浄土〉を意味していますね。本来は〈仏になって悟りを開くために、仏の国に往き生まれること〉を往生といいますが、日本には亡き死者を偲び尊ぶと仏になるという特有の考えがあるので、死往生=往生死のイメージが定着したのですね。浄土もキリスト教の天国も、清浄なる世界という意味では共通点もありますが、基本的には異なるものです。キリスト教ではheavenとhellのふたつに分かれていますが、仏教では浄土の反対に地獄があるわけではないんです」

「pure land、私も行けますか?」

「まじめに、辛酸さんらしく生きていらっしゃれば、問題なく行けますよ。大事なのは反省する心と感謝の心です。罪や悪行を犯しても、自分を戒め苦しみながらも懸命に生きている人こそ阿弥陀仏によって救われるべき、という教えが浄土真宗仏教にはあります」

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