オンナもこっそり濡れる“電子”官能小説特集 (前編)

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更新日:2013/8/13

平凡な女の子が性にのめり込んでいく“日常の隙間の官能”が主流

――登場する女性の年齢層はどんな感じなのでしょう?

渋谷: 官能小説の世界では、20歳前後がまだ性の入り口に立ったところ、女の悦びを知り始めるのが28歳くらい、30歳を過ぎたら酸いも甘いも噛み分けた女、という区分けが一般的ですね。

mimi: アダルト業界は20代後半でもう「熟女」ですからねぇ。

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いしい: 現実の年齢を当てはめちゃうと、たぶん男性が勃たないんですよ。そこはやっぱり小説もファンタジーですから。

渋谷: でも超美人なヒロインとかいう設定は実は少なくて、平凡な女の子が性にのめり込んでいくパターンのほうが多いんです。鷹澤フブキ『もっと淫らに』はその好例。これから官能小説を読む女子には、幻冬舎アウトロー文庫(※3)がお勧めですよ。平日は金曜にしか飲みに行かないような平凡なOLとか、今の時代の普通の女の子がたくさん描かれていますから。いわば、日常の隙間の官能。

犬山: 私、毎晩飲み歩いてますけど、金曜にしかに飲み行かない女子のほうがエロい気がするな……。

全員: それはわかる! 絶対そうですよ!

いしい: 犬山さんのような官能小説ビギナーには、鷹澤フブキのような女性作家は入りやすいと思いますよ。新人作家なら花房観音もお勧め。黒沢美貴も変態なんだけどそこがいいし(笑)、南綾子のさらっとしたエロスも私は好き。

渋谷: 実は女流作家って多いですよね。森奈津子さんはご自身がバイ・セクシャルなので、レズビアンものもたくさん書いていますよ。河出i文庫(※4)の官能アンソロジーシリーズも粒ぞろい。中でも女流官能アンソロジー『蜜の競艶』は一編ずつの濃度が高くてイチオシです。

※注3:官能小説を多数扱う幻冬舎の文庫レーベル。団鬼六の傑作シリーズ『花と蛇』もここから刊行
※注4:「セクソロジー:知られざる大人の教養シリーズ」を謳う官能小説レーベル。「告白手記シリーズ」などが人気

 

 

『蜜の競艶 女流官能アンソロジー』
岩井志麻子、菅野温子、鷹澤フブキ、内藤みか、黒沢美貴、開田あや、南綾子、子母澤類、森奈津子/河出i文庫(河出書房新社)
<継母は僕を口に含むと、何か別の生き物を口に飼っているのではないかというほどの動きで舐めあげ…(「春宮画」)>。人妻、女医、女子大生など、様々な女達の愛欲を描いた人気作家九人による珠玉の短篇集。
犬山紙子
エッセイスト。オンナたちの悲惨で笑える実話をイラストと文で綴った初の著書『負け美女』が好評発売中。プチセレブな家庭環境でありながら、女子中高、大学と、ゲームと漫画に明け暮れる時代を過ごす。ブログで発表していた、恋愛&ビッチネタのイラストエッセイが、ツイッターをはじめとして人気に。うまくいかない美女やイケメンの実話は、あるある感とカタルシスで共感を呼ぶ。派手なルックスとは裏腹に、夜な夜な「モテない美女軍団」でビールを飲んだくれている。柴犬命で愛犬コロッケを溺愛しつつ、彼氏いない歴、いま堂々の3年。
官能小説初心者。ブログ「犬山紙子のイラストエッセイ 負け美女」(@inuningen)



『負け美女』犬山紙子(マガジンハウス)

『O嬢の物語』
著:ポーリーヌ・レアージュ、訳:澁澤龍彦/河出i文庫(河出書房新社)
「喪女で官能小説ド初心者の私でも、すらすら読めてかつグッときた1冊。とにかく世界観がきれい。女の子がうっとりする摩訶不思議アドベンチャーな古典エロスの世界です。友達に読んでいるのを見られても『これ文学だから!』って逃げ場があるのも助かります」