虚言癖は病気なのか? 嘘をつく人の心理

暮らし

2015/5/31

『虚言癖、嘘つきは病気か』(インプレス/林公一)

  

 明らかにわかりやすい嘘をつく人は周りにいないだろうか。最近では、香山リカ氏のTwitter乗っ取り騒動が虚言ではないか、と話題になったが、昨年では、佐村河内守氏のゴーストライター騒動、野々村竜太郎氏の号泣会見など嘘が発端で起こる騒動は度々ある。ここまで大きな騒動にならなくとも、明らかにわかりやすい嘘をつく人は身近にも多い。なぜ彼らは嘘をつくのだろう『虚言癖、嘘つきは病気か』(インプレス/林公一)から嘘をつく人の心理を探ってみよう。

嘘をつく人の共通点

 本書には嘘をついているのではないかと周りから思われているケース1~44の事例が掲載されている。前述した佐村河内守氏、野々村竜太郎氏のほかに、STAP細胞騒動の小保方晴子氏、柔道金メダリストの内柴正人氏なども掲載されているのだが、その中で多くの人に共通しているのは「たくさんの嘘をつく」、「普通では考えられない嘘をつく」の2点であると、本書の著者 林氏は言う。

 本書で掲載されている例であげると、“最近まで自分は外科医だと言い張っていた夫が実は金融関係のサラリーマンだった”“夫の父親は今まで2度ほど話の中で死んでいるが、実は健在である”など信じられない嘘が多く飛び出す。

 虚言癖や虚言症と呼ばれる人々に医学的な定義があるわけではないが、「たくさんの嘘をつく」、「普通では考えられない嘘をつく」の共通点はかなり多くの人に当てはまるようだ。また、全員ではないが共通している点として「外見からは嘘をついているように見えない」「かなり細かい話を作り上げる」「メリットがないのに嘘をつく」などもあげられる。

虚言癖は病気なのか?

 ありえない嘘をたくさんつくというのは病気なのだろうか。先に答えを言ってしまうと虚言は病気とは言えない。林氏は「虚言についての医学的研究は驚くほど少ない。虚言は精神医学の死角にある」とも話す。医学的に解明されていないと言うのが実情のようだ。

 しかし、病気とは言えずとも、自分の価値を誇大的に評価し、他人からの賞賛を求める“自己愛性パーソナリティー障害”、自分が常に注目されていたい“演技性パーソナリティー障害”、対人関係、自己像、感情が不安定で見捨てられないかと不安になり、人への信頼や罵倒が極端になる“境界性パーソナリティー障害”、自分のことしか考えておらず法律や規則を破り、逮捕されるような行動を繰り返す“反社会的パーソナリティー障害”など、パーソナリティー障害の傾向が強い人が多いのも特徴と言える。

 本書では、自分でも嘘とわかっているのに注目されたいがばかりに自然と嘘をついてしまったり、その嘘を補うために更なる嘘をつき続けてしまったり、どうしても虚言をやめられない本人からの証言もあり、“嘘つき=悪”と決めつけてしまうのはいかがなものかと考えさせられるようなケースもある。

 嘘をつく人も多少なりとも苦しんでいる部分も感じられる本書。周りに嘘ばかりで迷惑をかける人がいて悩んでいる場合は、ぜひ一読してみてほしい。嘘をつく人の見方が変わるかもしれない。

文=舟崎泉美