なぜ彼らは辞められない? 若者を使い潰す「ブラックバイト」の実態

社会

公開日:2015/5/31

ひとりで悩まず、相談を!

 結局、これは日本の社会制度も含めての問題であり、学生は極めて深刻な立場に置かれているといえる。しかしブラックバイトに従事している学生に強く言っておきたいのは、その状況を甘んじて受け入れる必要はまったくないということだ。基本的に、いかに契約があろうと、合意がなかったり労働者に著しく不利だったりするものは無効となる。抜け出せないような状況に思えても、解決する方法は必ずあるのだ。本書でもその解決策を教えてくれている。簡単にいうと企業を取り締まらせるために「労働基準監督署」へ告発することや、会社に約束を守らせるため裁判や労働審判に訴えること、そして労働組合を使って会社にさまざまな要求をしていくというものだ。

 これらの解決策にいえることは、いずれも誰かの協力を得ているということ。役所や弁護士などに、まずは相談してみることが解決の第一歩だ。役所に頼みづらいなら、NPO法人がある。本書の著者のひとり、今野晴貴氏が代表を務めるNPO法人「POSSE」や、そのスタッフが作った「ブラックバイトユニオン」など、話を聞き手助けをしてくれる団体は数多いし、それこそ親兄弟でも構わないのだ。ブラックバイトに悩む人は、とにかくひとりで抱え込まずに誰かに話していただきたい。複数の力が集まれば良い知恵が浮かぶかもしれないし、何より仲間がいれば心強い。そうやって声を上げていけば、いずれ状況を変えるための大きな力になってくるはずだ。多くの人がこの事実を認識し、一刻も早く「ブラックバイト問題」が解決することを願って止まない。

文=木谷誠(Office Ti+)

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