食材と会話すれば美味しくなる!? 日々の食事を大切にするレシピ【作ってみた】

食・料理

公開日:2015/6/17

 毎日必要不可欠な食事だからこそ、1食1食を大切にしたい。しかし忙しさに追いやられ、食事が疎かになっている人も多いのではないだろうか。

 今はスーパーマーケットやデパ地下で、調理されたおいしい料理がいくらでも買える。色とりどりの食材を使用したお惣菜は、食欲をそそるし非常に魅力的だ。もちろん、そういったお惣菜を食べる楽しみもある。でも1品くらいは、自分のために手間をかけて作った料理を食べてほしい。そういった食生活を提案しているのが、『85レシピと10の話 あなたの料理がいちばんおいしい』(長尾智子/メディアファクトリー)。

advertisement

 買ってくる料理は、どことなく似たような味になりがちなもの。小鉢1つにしても調味料1つにしても、きちんと手作りすれば、買ってきたものにはない良さが出るそうだ。何か1つそういったものを使うだけで、食事はずっと楽しいものになる。

 美味しい料理を作る秘訣は、食材に語りかけ、食材の良さを引き出すこと。「この食材はこの味付けだよね」といった食材の常識に囚われない、食材の持つ魅力を引き出す料理を作っていけば、料理の楽しさ、魅力に気がつく。本書には、そんな食材を愛することで生まれるレシピがたくさん掲載されている。今回も、本書の魅力を感じるべく、食材と向き合いながら実際に料理を作ってみた。

「煎り玄米の炊きこみご飯」(P.48)

 玄米をフライパンで煎って、骨付き鶏肉と炊きこんだご飯。ふわっとした食感の煎り玄米が鶏肉の旨みを吸った、非常に優しい味。鶏は安く手に入る手羽元を使用。レシピでは鍋で炊いているが、今回は煎った玄米と一緒に炊飯器に入れて炊いてみた。玄米コースで炊けば、炊飯器でも美味しく炊ける。

「里いものとてもシンプルなグラタン」(P.65)

 茹でた里いもの皮をむき、荒く潰して塩で味を調えて、刻んだバターを乗せてオーブンで焼くだけ。オーブンがない場合は、オーブントースターで焼いても美味しくできる。ベーコンを入れてもOKとあったので、ベーコンも入れた。里いもと塩、バターの相性が抜群。サクサクした表面が食感的にも嬉しい。バターは、レンジで数十秒加熱したものを回しかけてもいい。

「柑橘ローストチキンと焼きりんご」(P.76)

 鶏肉を塩、にんにく、レモン、グレープフルーツ、すだち、かぼすなどの柑橘果汁で漬け込み、アルミホイルで包んでオーブンで焼くだけ。りんごは半分に切って塩とオリーブオイルを挟み込み、こちらもアルミホイルで包んで焼く。今回は手羽元を使用し、オーブントースターで焼いてみたが、問題なく仕上がった。定番メニューにしたい美味しさ。

P.24の「アンチョビパセリオイル」を使って、「じゃがいもとエリンギのホイル焼き」(オリジナル)

「毎日使いたい自家製調味料」として、P.24~P.25で手作り調味料のレシピが紹介されている。今回は、その中の「アンチョビパセリオイル」を作って、じゃがいもとエリンギのホイル焼きにかけてみた。ホイル焼きは、適当なサイズに切った食材を塩コショウとともに焼いた至ってシンプルなもの。アンチョビパセリオイルを使用するだけで、パセリの爽やかさとアンチョビの旨みが加わり、食材の美味しさが引き立つ料理に。

 どの料理も、簡単でありながら食材の魅力をたっぷりと引き出すものばかり。『あなたの料理がいちばんおいしい』には、このほかにも様々なレシピが掲載されている。本書を見習い、いつも使っている食材を見つめなおして、食材を大切にした料理を作っていきたい。

文=月乃雫