これであなたもカンバーバッチ!? 『SHERLOCK』に学ぶ、イケてる英語表現

文芸・カルチャー

2015/6/23

 大英帝国勲章(CBE)の叙勲が発表され、一児の父となるなど、公私ともに充実したニュースが飛び交う、英国の人気俳優ベネディクト・カンバーバッチ。

 今日の人気ぶりに拍車をかけた作品といえば、やはりBBCドラマ『SHERLOCK』だ。このドラマのコミカライズ版に、このほど日英対訳の『バイリンガル版』が登場した。

 カンバーバッチ演じるシャーロックは、現代ロンドンの「世界唯一のコンサルタント探偵」。頭脳明晰な皮肉屋のハンサム・ボーイという役柄だ。

 彼の話す英語はというと、そこは、やはり世界を魅了してやまないシャーロック。日本の教科書ではほとんど出てこない、実に小粋でオシャレな表現がストーリーを飛び交う。

 そこで、『バイリンガル版SHERLOCKピンク色の研究』から、ネイティブにも「カッコイイ」と思わせる英語のセリフをご紹介。これをマスターすれば、あなたもカンバーバッチになれる!?

 

◆名セリフその1
Want to see some more?
(もっと見たい?)

SHERLOCK

 まずは初級編。軍医として戦場で多くの死体を見てきたジョン・ワトソンを、シャーロックが殺人現場へ誘うシーン。

 このセリフは、口語ならではの省略が使われているのが特徴です。中学英語を覚えている人なら、動詞のwant が先頭にあるので「見たいと思え」という、命令文と思うかもしれません。

 しかし、フランクな会話では、「Do you〜?」を省略することがよくあります。

 教科書通りの表現にすると、Do you want to see some more? となり、「もうちょっと見せてあげようか?」という勧誘の言葉になるのです。

 

◆名セリフその2
Who cares about decent? The game, Mrs. Hudson, is on!
(不謹慎が何だって? ハドソンさん、ゲームが始まったのに!)

SHERLOCK

 大家のハドソンさんが、楽しそうに殺人現場へ行くシャーロックに It’s not decent. (不謹慎だこと)と声をかけたことに対してのセリフ。

 Who cares about 〜? は、直訳すると「誰が〜を気にするの?」という意味で、「〜なんて、どうでもいいよ」というニュアンスの表現。Who cares? だけでもよく使われます。日本語の意味と同じく、ケンカ腰の表現なので、使うときは注意が必要です。

 The game, Mrs. Hudson, is on! は、The game is on! (ゲームが始まった!)という言葉の間に、ハドソンさんへの呼びかけを挟んだ英語独自の表現。The game の後に名前を入れることで、「これは“ゲーム”なんだよ、ハドソンさん」と強調するニュアンスが加わっています。

 「ドラマティックな表現が好き」なシャーロックならではの言い回しと言えます。

 

◆名セリフその3
Shot in the dark. Good one, though.
(当てずっぽうだが、一応根拠はある)

SHERLOCK

 ジョンの「兄」が酒癖が悪いことを指摘したシャーロック。ジョンに、なぜわかったのかを聞かれた際に答えたのがこのセリフ。

 Shot in the dark を直訳すると「暗闇の中での一発」という意味。ここから転じて、「当てずっぽう」という熟語で使われています。

 問題は次の Good one, though. ですが、

 good one (いいもの) + though(それでも) =「それでも、いいものだよ」 となります。

 「当てずっぽうの中でも、悪くないもの」→「ちょっとした根拠のある当て推量」→「一応の根拠はある」と理解することができます。

 非常にウィットに富んだ言い回しですね!

 

◆名セリフその4
We’ve got a serial killer on our hands. Love those.
(連続殺人とは嬉しいなっ)

SHERLOCK

 殺人現場に赴いたシャーロックが、事件が連続殺人だと断定して喜ぶシーン。

 We’ve got 〜. は、have got 〜. が隠れた文。これは典型的なイギリス英語で「〜を持っている」という意味。学校で習うことはまずありませんが、アメリカ英語で言うところの have と全く同じ意味。「連続殺人犯の案件が自分たちの手に回ってきた」というニュアンスです。

 Love those. のthose は連続殺人犯を指します。なぜ複数形になっているかというと、連続殺人犯全員に対しての言葉だからです。マンガではこれをまとめて、「連続殺人とは嬉しいなっ」とスマートに訳しています。

 

◆名セリフその5
Well, you could just sit there and … watch telly.
(家で座って…テレビを見ていてもいいが)

SHERLOCK

 犯人をおびき出す作戦を実行し、ジョンに一緒に来いと誘うシャーロック。もちろんプライドの塊の彼ですから、素直に一緒に来て欲しいとは言いません。

 could は、ここでは「〜するのもアリだと思うよ」と、やんわりと許可を与えるような言い回しです。ちょっとマニアックな表現ですが、ネイティブの会話ではかなり頻出語なのでチェックしておきましょう。

 ちなみに、telly はイギリス独自の口語表現で「テレビ」の愛称。

 just sit there は「単にそこに座って」というニュアンス。それに加えて、俗っぽい「telly」を使っているところに、「バカみたいにテレビを見ていてもいいよ? それが本当にしたいなら」と、小馬鹿にしつつも一緒に来て欲しい本音が垣間見えます。

 実はちょっと寂しがり屋?な、シャーロックの一面が垣間見られるシーンです。

 


 

 英語の本場であるイギリスで大人気のテレビシリーズだけに、ちょっとした言葉の中にも深い意味が隠されていますね。実は、本作の脚本家である、スティーヴン・モファットとマーク・ゲイティスは、もともとはコメディアン。そのため、英語の脚本の中には、イギリスならではのブラックユーモアが数多く隠されているのです。

 『バイリンガル版 SHERLOCK』を読み解いて、より深くその作品世界に浸ってみましょう! 読み終わるころには、英語力も格段に上がっていますよ!

 

『バイリンガル版 SHERLOCK ピンク色の研究』

Jay.(画)/ スティーブン・モファット、マーク・ゲイティス(作)

世界的大人気ドラマ、「SHERLOCK ピンク色の研究」が、英語×日本語のコミックとなって再登場!“圧倒的な忠実度”と名高い、「ヤングエース」大好評連載中のコミカライズ版を、BBC放送時の脚本をもとに再編集。原作ドラマに限りなく近い英語で、スリリングかつスピーディーなストーリーがよみがえります。

2015©Hartswood Films, Permission for this edition was arranged with
Hartswood Films Limited through The English Agency (Japan) Ltd. ©Jay