「アメトーーク!」効果で全国書店から消えた!若林も又吉も大絶賛で今、入手困難のアノ本とは?

文芸・カルチャー

2015/6/25

 とある本がテレビ番組をきっかけに、現在、入手困難になるほど、注目を集めているのをご存知だろうか。その本とは中村文則氏による『教団X』。もともと評価の高い作品ではあったが、18日に放送されたテレビ朝日系バラエティー「アメトーーク!」の「読書芸人」たちがキッカケで、いっきに火がついたのだ。番組では、オードリー・若林が「作家さんに“オススメの小説は?”と聞くとみんな決まってこの本を挙げる」と『教団X』を紹介すると、いまや芥川賞候補作家となったピース・又吉も「10年に1回あるかってくらいの作品」と大絶賛。その結果、視聴者の間でこの本を読みたいという人が続出し、放送後、本書のAmazonランキングが急上昇、在庫切れとなるほどの売れ行きだ。出版取次大手・日販の「日販オープンネットワークWIN調べ」のグラフを見ても、反響は一目瞭然。いったい、読書好きの芸人たちを虜にしてやまない、『教団X』とはどのような作品なのか。多くの人が『教団X』を早く読みたいと垂涎の思いをしている。

『教団X』週別売上推移。番組放送週の劇的な伸び率に注目。
「日販オープンネットワークWIN調べ」

 作品の舞台は、ある対立する2つの宗教団体。自分の元から去った女性を追い求めて、楢崎は、家族のような温かなつながりを持つ松尾の教団と、セックスで人を洗脳していく沢渡のカルト教団とをさまようことになる。生きる苦しみを抱えた信者たちと関わりあう中で、次第に翻弄されていく彼は、気づかぬうちに、4人の男女の運命、あらゆる欲望の渦に巻き込まれてしまう。惹かれ合い、反発し合う男女はどこへと向かうのだろうか。「あなたは、私がつかむことのできなかった、もう一つの運命だったの」――真実の愛の姿、まばゆいばかりの強い光、そして、底の知れない闇。溢れんばかりの「生」に読者は否が応でも惹き込まれることだろう。

「読書芸人たちを魅了したこの作品を読みたい」という視聴者たちはどれほど多くいることだろうか! その実態を知るべく、「アメトーーク!」のロケ地にもなった本好きの聖地・紀伊國屋書店 新宿本店次長 石井さんに緊急取材を敢行。やはり「アメトーーク!」放送から1週間が経った今でも番組の反響は大きく、電話でも店頭でも問い合わせが尽きないらしい。新宿本店においては、番組放送前『教団X』は週に1桁冊ほどの売上だったのが、番組放送後3日間で240冊以上も売り上げたという。

「本の番組ではなくバラエティー番組で芸人さんが紹介することは、世間一般の方たちが小説って面白いなと思ってくれる良いキッカケになるのでとてもありがたい」と嬉しい悲鳴をあげると同時に、石井さんは、文芸作品に追い風が吹いていることに確かな手応えを感じているという。又吉の『火花』の大ヒットと芥川候補作入りはもちろんのこと、くりぃむしちゅー・有田が紹介した『イニシエーション・ラブ』が話題となり、映画化されるなど、作家を本業としない芸人が執筆した書籍、紹介した書籍がヒットするという社会現象が起きている。『教団X』もこの流れのひとつとも言えるが、「今回のケースは異例」と石井さんは言う。それはまた、より広い層の人たちが文芸書に興味を持ちはじめているといえるだろう。そして、これほどまでに読書好きの芸人たちの心をわしづかみにした作品は他にはあるまい。『教団X』は芸人たちの心も揺さぶる、今もっともアツい作品なのだ。

 『教団X』の出版元の集英社は、現在、『教団X』は売れ切れ状態が続いているが、大重版をかけ、できるだけ早く読者のみなさんへ届けられるよう対応中とのこと。早い所では、7月 4日頃(※地域により異なります)に書店に並ぶ予定とのこと。まもなく各書店では、平積みに置かれ、今まで以上に多くの人たちの手元に届けられることとなる。紀伊國屋書店 新宿店でも在庫が揃い次第、POPなども置いて、1階の店頭に売り場を設けるそうだ。ああ、本好きもそうでもない人も、いち早くみんなに読んでほしい。みんなで感想を語り合いたい。読書芸人が今一番薦めるこの本を、品薄になるほど話題となっているこの本を、今、読まない手はない。

文=アサトーミナミ

●書籍情報
タイトル:『教団X
著者:中村文則
発売:集英社
価格:1,800円(税抜き)