スピリチュアル・アレルギーの人でもうなづける、明日が楽になる「気づき」のヒント満載ブック

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更新日:2015/6/30

●あちこちで目にする「スピリチュアル」という言葉。その本質は?

 日本語として定着した感がある「スピリチュアル」という言葉。インターネットで検索すれば、パワースポット、ヒーリング、チャネラー、オーラ、守護霊、前世…といったオカルトっぽい言葉が続々ヒットして、なんとも怪しげな印象だ。眉つばネタも多いし、おもしろがるにはいいけれど、あんまり深く関わりたくないという人も多いだろう。

 とはいえ「スピリチュアル」とは何か? と聞かれると、具体的に言い表すのはなかなか難しい。あやふやでつかみどころがない、だからこそ、うさんくささが倍増してしまうのだろう。『山川さん、黒斎さん、いまさらながらスピリチュアルって何ですか?』(日本文芸社)はまさに、この「うさんくささ」を払拭するために、正面から「スピリチュアル」に立ち向かった鼎談集。登場するのは30年以上第一線で活躍する、スピリチュアル書の翻訳家である山川紘矢、亜希子夫妻と、ベストセラー『あの世に聞いた、この世の仕組み』の著者である雲黒斎氏の3人だ。

●エリート夫妻とスピリチュアルの出会いは「セミナー」だった!

 スピリチュアル界の重鎮ともいうべき山川夫妻だが、その経歴には驚かされる。ふたり揃って東大卒。紘矢氏は大蔵省(現在の財務省)に入省後20年以上バリバリの「官僚最前線」の生活を送り、亜希子氏も外資系企業で活躍した、まさに超エリート夫妻なのだ。もともとスピリチュアルなものに興味があった訳ではなく、まったくその逆。紘矢氏いわく「神なんているはずがないと思っていた」そうだ。そんな彼らとスピリチュアルとの出会いはなんと「セミナー」。紘矢氏が業務に必要な英語力をさらに磨くため、たまたま参加した英語のセミナーが、アメリカで誕生し当時日本に紹介され始めたばかりの「セルフ・アウェアネス」、自分を知るための「気づき」のセミナーだった。英語レッスンのつもりで何の予備知識もなく受けたのだが、これで紘矢氏ががらりと変わってしまった。それまでは世間の常識、価値観に従って、自分で何も考えずに生きていたのが、「自分を見る」ということを知った。つまり興味の視点、対象を外側から自分の内側へと180度転換させられたのだという。紘矢氏のスピリチュアルとはごく普通のことで、「人間が“自分は誰か”“自分は何者か”ということを発見する。“なぜ、ここにいるのか”ということを発見する。究極的には、それがスピリチュアルなんじゃないか」という見方がとても新鮮。アプローチの仕方はいろいろだけれど、結局「本当の自分」を見つけること、「Who am I?(私はだれ?)」こそがスピリチュアルのテーマなのだ。

●雲黒斎氏の明晰で理性的な発言に深く納得

 対するスピリチュアル界の若手代表、雲黒斎氏のスピリチュアルとの出会いは典型的な「奇跡」系。突然「むき出しのインスピレーションの感覚としてざくっと入ってくるような、理解が直接届くような感覚が起こった」のだそうだ。神がかった体験をした人だから言葉もそうかと思いきや、「スピリチュアリティは、もともと僕たちひとりひとりの中にしっかり内包されているもの」「“スピリチュアル”のイメージは“意識変容”という意味合いが強い」などなど、まるで哲学者のよう。例えば「幸せ」という気持ちについても、気づきがなければ、お金があると幸せ、ないと不幸みたいに、対象に振り回されているけれど、「本当の自分」という視点に目を向ければ、「幸せという本質には、具体的な対象があるわけではない」「幸せには理由も条件も必要ない」ということがわかってくるのだそうだ。そして「幸せを実感できないのは、“幸せが足りない”のではなく、“不幸を抱えている”からだということがわかってくるんです。」確かに、ない物ねだりばかりしている時に限って、今持っているものに目を向けていないことが多い。これって自分で自分を不幸にしているのかも。

 「“やりたいことがみつからない”のではなくて、心の中に“やりたいことを否定する自分”がいる」、だから「“やりたいことを見つける”ということではなくて、それよりも先に自分自身を認めてあげる、許してあげるということが必要」など、スピリチュアルに興味がない人も「なるほど」と思える印象的な言葉が次から次へと紡がれる。スピリチュアルに関連してよく出てくるチャネリングだとか精霊、カルマなど、スピリチュアル・アレルギーな人は苦手そうな話題も、とても平易に語られていて受け入れやすい。特に黒斎氏の「命」のたとえは秀逸だ。宇宙、存在のすべてを1本の木として捉え、人間をその木の葉だとして、輪廻転生も前世もすっきり鮮やかに説明してしまう。まるでパズルのピースがぴったりはまるような爽快感! 私は大いに納得したが、山川夫妻は微妙な違和感を覚えるらしく、反論しつつも理解できるところは「いいね」と認める。そんな掛け合いの面白さが味わえるのも対談集ならではだ。

●必ずお気に入りの1冊が見つかる! 最終章の「おすすめスピリチュアル本対談」

 スピリチュアルの本質とは「自分が何者かを知ること」であり、それを通して「幸せになること」だというのは、3人に共通する認識だ。ではどうやって自分を知ったらいいのだろうか? そんな初心者のために、最終章では3人がおすすめ本を紹介する。簡単に読みたい人には…、小説風だったら…、日本のベストセラーだったら…など、さまざまな切り口で紹介されていて、読みたい本が1冊、2冊は見つけられそうだ。
スピリチュアル(=自分探索)に親しむためのガイドブックとして手もとに置き、何度も繰り返し読みたくなる1冊だ。

文=yuyakana