あの症状、原因は“鼻”だった! 「鼻づまり」が脳や身体の発育に大いに影響する?

健康・美容

公開日:2015/7/1

 鼻づまりは苦しい。風邪をひいた時や花粉症の時期には鼻水が止めどなく出て、息をすることもままならず、どうやったら自分の体内でこんなにたくさんの鼻水が作られるのかと不思議に思いながらティッシュで鼻をかむが、かみすぎて鼻の周りが真っ赤になってヒリヒリし、寝ようと横になれば鼻の穴から入ってくるはずの空気が遮断されて息苦しく、眠ることもできない。

 健康な人にとって鼻づまりはそうした短い期間のみの症状だが、それが慢性的に続く鼻炎や副鼻腔炎などの症状がある人もいる。そして鼻づまりを放置していると「他の症状」の原因となることが近年わかったきたそうで、特に子どもの脳や身体の発育に大いに影響するのだという。『鼻のせいかもしれません 親子で読む鼻と発育の意外な関係』によると、子どもに以下のような症状があったら、鼻づまりに原因があることを疑ってみていいという。

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「寝付きが悪い」「口を開けて寝ている」「夜中に何度も目が覚め、熟睡していない」「いびきをかく」「歯ぎしりをする」「おもらしをする」「運動が苦手」「口を開けて呼吸している」「姿勢が悪い」「身長が伸びない」「ご飯をあまり食べない」「食べ物をあまり噛まずに飲み込む」「昼間に眠くなったり、ボーっとする」「集中力がない、もしくは続かない」「いつもイライラしてキレやすい」「顎が小さく、歯並びが悪い」「落ち着きがない」「ニオイに鈍感」「よく鼻をかんでいる」「表情に乏しい」

 こんな症状がないかどうか、お子さんがいる方はじっくり見てあげてほしい。ちなみに生まれてからずっと鼻づまりの子どもには「鼻づまり」という概念がないという。それはスーッと通った経験が一度もなく、鼻がつまっているのが普通なので、症状を訴えることをしないのだ。これまでは発育を待つということから、子どもの鼻の手術は積極的に行われなかったが、近年、日帰り手術が可能になり、本書には手術を受けて鼻がスーッと通った子が、初めて「鼻で笑う」「鼻歌を歌う」ができるようになり、「フフーン」と鼻を鳴らしているというエピソードもあった。

 本書は前半で子どもも読めるマンガで、後半は文章で詳しく鼻の仕組みや鼻づまりがどんな症状を引き起こすのかを説明しているので、鼻づまりがデフォルトな子どもにも「もしかしたら自分、そうかも」と気づいてもらえる作りになっている。また鼻づまりは鼻水が出まくるわかりやすいタイプ以外に「かくれ鼻づまり」というわかりづらい状態もあるそうなので、いつも口を開けているなど気になる症状がある場合は、ぜひ耳鼻科を受診してもらいたい。また鼻ではなく口で呼吸することがどれほど体に悪影響を与えるのかも本書を読むとわかる。鼻はとても大切な器官なのだ。

 この本でイラストを担当している、絵本『りんごかもしれない』などの作者であるヨシタケシンスケさんも副鼻腔炎だったそうで、巻末にはヨシタケさんの「鼻の手術 体験レポート」が掲載されている。術後に「ずわー」とビックリするくらい鼻から空気が入ってきて、40年間の鼻づまり人生がウソのようで、あまりの変化にすっかり舞い上がり、自分に鼻がついていることを忘れてしまう、と書いている。大人の鼻づまりも、すぐに解消した方がいいのだ。

 ここまで読んだ方には「フフーン」と鼻を鳴らしてみてもらいたい。鼻水が出た、空気が通らない、という人は、本書をじっくり読んで鼻の大切さを知り、一生を左右しかねない「鼻づまり」とじっくり向き合ってください!

文=成田全(ナリタタモツ)