料理で見る世界地図! 初心者にも作れる39の国と地域の料理【作ってみた】

食・料理

公開日:2015/7/1

 この世界には、見たこともない料理がたくさん存在する。料理好きの人なら、一度は「世界各国の料理を作ってみたい!」と思った経験があるのではないだろうか。そんな人たちにぜひ読んでほしい本がある。『食べる世界地図』(ミーナ・ホランド:著、清水由貴子:訳/エクスナレッジ)だ。料理には文化が詰まっている。それを想像するだけでわくわくしてくる。本書には、世界の39の国と地域の料理が、その歴史や背景と共に紹介されている。

 フランス料理やイタリア料理などメジャーどころはもちろん、スカンジナビア料理、イスラエル料理など、「え、どんな料理なの?」と気になる料理も多数紹介されていた。可能なら1つ1つ順番に作ってみたいくらいだったが、文章量や予算の都合上、泣く泣く削って4つに絞った。

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フランス:ベイクドカマンベール

 フランスのノルマンディを代表する食材、カマンベール。これをまるごとカルヴァドス(りんごで作られたブランデー)、ローズマリー、塩コショウに漬けこみ、オーブンで焼くだけ。焼いたカマンベールに切り込みを入れると、とろっとした熱々のチーズが溢れてくる。ローズマリーの香りとカルヴァドスをたっぷりと吸ったカマンベールの美味しさに、丸々1つを1人で食べきってしまった。

 フランスで最も有名なチーズ・カマンベールは、フランス革命時代に農家の女性が生み出したそう。第一次世界大戦では、戦地へ向けて毎週50万箱が出荷されていたと言われている。

スカンジナビア:デニッシュ・ドリームケーキ

 夢のケーキという、魅力的なネーミングのケーキ。牛乳、卵、バター、砂糖、小麦粉などで作るシンプルなスポンジケーキに、バター、ココナッツフレーク、黒砂糖、牛乳で作った、ねっとりとしたキャラメルのようなソースをかけたもの。本書にも書かれているが、本当に夢のように美味しい。

 スカンジナビアのケーキには、木の実やスパイス、乳製品などが使われるのが一般的だそうだ。また、スウェーデンには“フィーカ”という、コーヒーとお菓子を楽しむ時間があり、焼き菓子が親しまれているのだとか。

トルコ:ビーフ・キョフテ

 トルコ周辺でポピュラーな、肉とヨーグルトを使ったミートボール。様々なスパイスを混ぜて作ったミートボールに、ヨーグルト、ニンニク、イタリアンパセリを混ぜたソースとスマックをかけたもの。スマックとは、ゆかりのような味のスパイス。今回はゆかりで代用してみた。ヨーグルトは、ギリシャヨーグルトかトルコヨーグルトを使用とあるが、普通のヨーグルトを水切りしても同じように使える。ニンニクの効いたヨーグルトソースが、ミートボールとの相性抜群。

 トルコでは、ヨーグルトを使った料理が浸透しているそうだ。ヨーグルトは酸味で味を整えてくれたり、肉を柔らかくしてくれたりと、実は様々な使い方ができる便利な食材なのだ。

モロッコ:鶏肉のクスクス

 最後はモロッコでは定番の食材、クスクスを使用した料理。焼き色を付けた鶏肉と玉ねぎ、スパイス類などの調味料を煮込み、取り出した鶏肉をオーブンで焼く。それをクスクスの上に盛り付け、鶏肉を煮込んでいたスープをかけて完成。スパイスの味と香りがしみ込んだ鶏肉とスープが、ふんわりしたクスクスの素朴な味によく合う。

 モロッコは、歴史的にスパイスロードの終着点。食材も異文化の影響も溢れ返っていた。宮殿の厨房では、それに加えて地元の食材もふんだんに使われ、モロッコ料理はどんどん発展していったそうだ。

 本書には日本料理の説明も書かれており、「初心者のためのうどん」「サーモンステーキの味噌マヨソース」「ほうれん草のおひたし」が紹介されている。マヨネーズが“キューピー・マヨネーズ”と具体的。また、うどんはバターも油も一切使わないと書かれているなど、西洋人から見た和食の紹介も見られて興味深かった。

 普段作らない料理を作ってみることで、新しい発見がたくさんある。手に入らない食材も代用可能な場合が多いので、ぜひこの本で世界の料理を堪能してほしい。

文=月乃雫