綾野剛、堤幸彦監督作品に初参加! 20年間映像化不可能と言われた『天空の蜂』の見どころは?

映画

2015/7/3

 東野圭吾が1995年に発表した『天空の蜂』(講談社)。最新鋭にして日本最大の超巨大ヘリコプター(ビッグB)が乗っ取られ、原子力発電所の真上に静止させるという史上最悪の原発テロ事件に立ち向かう人々の攻防を描いた本作。驚くべきは、「まさか20年も前に書かれたとは思えない」と話題になるほど、東日本大震災とその後を予見しているかのような内容だ。そして、圧倒的なスケ―ルとテーマ性から映像化不可能といわれてきた『天空の蜂』は、20年の時を経て映画化が実現。監督は、『20世紀少年』『SPEC』『トリック』などの人気作を世に送り出してきた堤幸彦氏だ。

 6月末、都内にて、『天空の蜂』完成報告会見が行われ、江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野剛、堤幸彦監督が登壇。「父と子の関係」を大きな軸としながら、日本人にとって非常に深いテーマ性を持ち合わせる本作。登壇者それぞれが作品への思いを語った。

 巨大ヘリの設計者・湯原を演じる江口は「実際に3.11を経験した上でその恐怖をリアルに感じた。すごく危機感のある非常におもしろい作品ができました」と手応えをアピール。江口と初タッグを組んだ、原発の設計士・三島役を演じる本木は「生き方や価値観を再構築しなきゃならない時、うまく表現できない自分の胸の内にある歯がゆさや恥ずかしさは、まさに“沈黙する群衆”に集約されていると思った。無知であることの罪を誰もがかかえていて、自分もそのひとりなんじゃないかという(作品の)メッセージ性に引き込まれた」と話した。

 また、仲間の恋人役でもある本木は「仲間さんとちょっと怪しい、いい仲で、撮影後にほどなくして入籍を発表されていたので、仲間由紀恵独身時代最後の相手役なのでは」と笑顔。一方、仲間は「堤監督が演出した上質な大人のラブシーンをぜひ見て頂きたいです。『トリック』のようなムチャぶりはなかった」と監督の横で微笑んだ。

 “堤組”初参加の綾野剛は「みなさんパンク精神剥き出しの方ばかりで、ちょっとでも落ち着こうとしている自分がばかばかしくなった。いろんな精神力を身につけたいと思えた映画でした。ライブ感やストリート感を大事にされている堤監督が僕達に寄り添ってくれて、人を介して演技を形にしていくというのを体感した。参加できてよかった」と語った。

 堤監督は、綾野の演技に対し「難しい役なんです。要所要所にピンポイントで登場する。江口さんと本木さんがじわじわ作りあげていく世界の中に、彼は瞬間的なミサイルのように、凝縮した演技を発揮してくれた」と絶賛。

 プライベートでも父である江口と本木は自身を役に重ね、小説でも現実でも、なかなかいい父になることは難しく、息子にどう伝え、みせるべきかを考えさせられた様子。本木が、「情熱をもって問題に立ち向かう湯原(江口)と、陰湿なかたちで家庭の問題を消化していく・三島(本木)は、自分たちの資質に近いものがあってアタリ役だった」との自虐コメントで会場をざわつかせた。

 堤監督は「自分が偶然に所属した社会、集団、家族、団体、地域に左右されて、独立した誰でもない自分を創り出すことは非常に難しい。社会の単位を背負うことで、本当にいいか悪いかを考えるのを放棄することが、利害の対立、紛争、戦争やらになっていくのではないかと作品の随所に感じました。そこで犯人は、“沈黙する群衆”に対し、蜂の一刺しをする。正しいやりかたではないけれど、いつか誰かがそういうことをするんだろうなという気持ちになります。みなさんなら何を思うかぜひご覧になっていただきたい」と話した。

 ヘリのローター音も特殊な音響チームが制作。イギリスの音楽作家によるBGMは、ハリウッド映画のようと“音”にも注力した作品のようだ。監督も「プロらしからぬ発言ですが、“すごいのやっちゃったな”」と作品への自信をみせた。

 映画『天空の蜂』は、9月12日(土)全国ロードショー。