ホリエモンも錦織圭選手も「脳」に共通点あり? “おっちょこちょい”こそ成功の秘訣!

ビジネス

2015/7/6

 やらなきゃいけない仕事がどんどん溜まっていく…。毎日残業だ…。これは多くのビジネスパーソンが抱える悩みだろう。このやらなきゃいけない仕事を「すぐやる」ことができればいいのだが、「ぐずぐず」先延ばししてしまうのはなぜか。それには脳の状態が関係しているという。

 意外だが、「ぐずぐず」してしまうのは、脳が正しく働いている証拠。そう主張するのは、脳科学者・茂木健一郎氏。しかしながら、ビジネスパーソンが仕事で結果を出していくには、「すぐやる脳」にチェンジする必要があるという。茂木氏の新著『結果を出せる人になる! 「すぐやる脳」のつくり方』(学研パブリッシング)では、その方法を解説している。

「おっちょこちょい」でよし!

「すぐやる」ができないのは、行動を起こす前に、慎重に検討するからだ。特に日本の場合、「石橋をたたいて渡る」文化をよしとされている。この社会的常識に適応しているのが、我々の脳だという。だから思い付きやひらめきを、すぐ行動に移すには、脳のブレーキを意図的に外す訓練が必要だという。

 その訓練のひとつは、習慣化。「考えずに行動する」よう毎日繰り返す。嫌な仕事も好きな仕事も、粛々と取りかかることだ。脳のブレーキ、つまり「抑圧」となっているものを意図的に外せば、誰でも「すぐやる人」に変われるという。この訓練を重ねれば、毎朝机に着いた瞬間から、フルスピードで仕事がこなせるようになるそうだ。そうなれば世界的成功を収めることも夢ではない。

 例えば堀江貴文氏。彼は、ベンチャーで一度成功しただけではなく、最近話題のトークアプリ「755」の運営元、株式会社7gogoの共同出資者として二度目の成功を収めている。その理由は“おっちょこちょい”な脳にあるという。

 茂木氏は、かねてから堀江氏に疑問をいだいていたそうだ。なぜわざわざお騒がせなキャラでメディアに露出するのかと。するとこんな答えが返ってきたという。
「おっちょこちょいを増やしたい」と(堀江氏は)いうのです。
 よく聞いてみると、彼の言う「おっちょこちょい」とは、単なる思慮の足りない人という意味ではありません。「成功するかどうかわからないけれど、とりあえずやってみる人」のことであるとわかってきました——

 就職、ベンチャー、結婚など、自分の努力だけではどうにもならないことは多い。成功するには、運を味方に付けなければならない。いわゆる「セレンディピティ」、偶然の巡り合わせを引き寄せる力だ。けれど茂木氏は、セレンディピティも、まず「行動」しなければ巡り合わないという。多くの人が行動を起こし、様々な成功を収めれば、閉塞感のある日本社会も明るくなるのではないかと記す。

 また同じくソフトバンク孫正義社長についても成功は、「すぐやる」すなわち“飽きっぽさ”から導き出されると。ソフトバンクは創業当初、ソフトウェアの卸販売会社だった。そこから通信会社に手を広げ、さらにプロ野球球団を抱えるように。ものすごいスピードで業態を広げていく。そのフットワークの軽さ=「すぐやる脳」が今の基盤だという。

恐がりだからこそ成功できる

 このように「すぐやる脳」とは、“おっちょこちょい”であり“とりあえずやってみる”ことだ。つまりリスクを厭わないこと。一見すると普通の人には、怖くてマネできないと思うだろう。

 だが、恐がりで内気で失敗を恐れるあなたでも、同じように成功は手にできる。

 徳川家康がその良い例である。徳川家康は、織田信長や豊臣秀吉と比べ、熟慮型の人物と思われがちだ。だが徳川家康の戦いぶりは、だれよりも大胆だったという。しかも、家康は意図的に自分をリスクテイクへと走らせたゆえの行動だったと茂木氏はみる。

 家康は、「しかみ像」という絵を残している。これは、三方原の戦いで大敗した自らの惨めな姿を絵師に描かせたもの。失敗を忘れないようにするためだ。このように自らの失敗にこだわるのは、ネガティブな人にありがちな行為だ。だが、家康はこの像を「脳を奮い立たせるカンフル剤」として利用していたのが、他者とは異なる。失敗にくよくよする小心者でも、天下を取ることができたというのだ。

本当に成功するひとは“謙虚”である

 同じく自分に自信がないという人でも大きく成長できる。なぜなら多くのアスリートは、とても謙虚なのだ。プロテニスプレイヤーの錦織圭選手や、フィギュアスケートの羽生結弦選手。彼らはその分野で成功をおさめても、常に他人の評価に耳を傾けるという。彼らは自分の「限界」もきちんと知っているからだ。

 羽生結弦選手が、ソチオリンピックで、金メダルを獲得した後発した言葉は「くやしいです」。つまり、「普段の実力ならもっと理想に近い演技ができたはずなのに」という思いが、金メダルよりも先にこみ上げてきたのだ。人に褒められたい、評価されたい、といった思いは見受けられない。

 一方、自分を大きく見せようと自分の能力の高さを常にアピールする人はどうか。自己アピールが強いわりには結果に結びついていない人も多い。

 成功する人とは、「根拠のない万能感」「都合良くポジティブシンキング」な人ばかりではないのだ。つまり自信がないからこそ、その思いを成長の糧にして人は成功することができる。

「すぐやる脳」の詳しい訓練の仕方は、ぜひ本書で確認してほしい。同時に、成功者を「脳」の観点から分析して見せる茂木氏のレビューも楽しめるはずだ。

文=武藤徉子

『結果を出せる人になる! 「すぐやる脳」のつくり方』(茂木健一郎/学研パブリッシング)