猫島渡航ガイドの決定版『のんびり猫旅』が教える「猫旅」の真実とは

暮らし

2015/7/9

 日本各地には数多くの「猫島」があり、猫島へのガイド付きツアーなども発売されているほど。猫を愛でる癒やしの旅は、都会の喧騒から離れた命の洗濯めいた響きですが、忘れてはならないのは、のんびり旅をしたいのは、人間の側だけにすぎないことです。猫は生きるという仕事で日々大変なのです。

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 同時に「島の猫は自然の中で暮らしているわけじゃない」ことも忘れてはなりません。「イエネコ」という品種名がしめすように、猫島の猫が暮らす「自然」は、人為的な影響から保護すべき自然環境ではなく、彼らはみな人里に暮らしています。つまり、猫島への旅は、猫だけに会って気ままにシャッターを切ればいいものではなく、縁なき人里におじゃまする旅なのです。現地のルールに従うのはもちろん、「猫のためは人のため」となるような、地元に還元する心配りが求められるのではないかと思います。買い物するとか寄付をするとか、地元の方と触れ合うとか。

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 さて、それを踏まえたうえで、「猫島」への行き方を調べると、首都圏の電車の発車間隔や、駅前に降り立って取りあえずロータリーに向かえばタクシーが1~2台駐車している安心感に慣れてしまった平地人は戦慄するのであります。まず、交通手段は船。島ですから。船着場まで徒歩で到達できる場所は少数派で、最寄り駅から数十分の道のりを要するところがほとんど。その最寄り駅に着くまでは、新幹線やら飛行機やらで数時間かかります。その道のりをまとめてくれている、優秀なガイドブックが『日本全国猫島めぐり のんびり猫旅』(南幅俊輔/主婦と生活社)です。

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 全国12カ所の「猫島」へのアクセス、宿泊所の有無、トイレの数、そして猫スポットの詳細、島を発着する定期船の時刻などからわかるのは、島に滞在できる時間は、概して数時間程度だということ。つまり猫島への旅とは「限られた時間で猫を見る」、実にストイックな旅であります。猫島でのんびり旅をしているように見える人々も、猫といっしょで、前日までに仕事を処理しておくとか、障壁多き有休申請を通すとか、並々ならぬ努力の結果、のんびり顔をしているのかもしれません。この本も、猫の写真に隠れがちですが、そんな努力の結晶なのではないかと思われてなりません。

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文=猫ジャーナル