世界で一番おいしいコーヒーの淹れ方が、こんなにシンプルでいいの?【作ってみた】

食・料理

2015/7/14

 友人から、ハワイのお土産でコナコーヒーの豆をもらった。以前ハワイで飲んだ、ほんのりと甘いコナコーヒーの香りを思い出す。あのコーヒーをまた飲みたいなあ…。せっかくだから、本格的に豆を挽いて自分で淹れてみようか。でも、けっこう面倒なのかな…。そんなときに手に取ったのが、『コーヒーの絵本』(庄野雄治、平澤まりこ/ミルブックス)だった。

 本書の著者は、徳島市内で焙煎所・アアルトコーヒーを営む庄野雄治氏。アアルトコーヒーの豆といえば、全国のカフェやおしゃれ雑貨店で広く使われていて、コーヒー好きの間でも有名。庄野氏が各地で開催するコーヒー教室も好評で、参加者のなかにはリピーターもいるそうだ。

 帯には「おいしいコーヒーのいれ方がわかる 世界でいちばんやさしいコーヒーの絵本」とある。ページをめくってみると、コーヒー豆の選び方や道具の選び方、基本的なコーヒーの淹れ方などが、ごくシンプルに、平澤まりこさんのほのぼのとしたイラストとともに紹介されていた。

 まさしく、子どもでも楽しめそうな絵本だ。コーヒーってどちらかというと、「絶対にこの方法じゃないとダメ」とかいう頑固なイメージがあるんだけど…。この感じなら自分でも淹れられるかもしれない。

 そこで、絵本の通りにコーヒーを淹れてみた。

■コーヒー豆を選ぶ

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 コーヒー豆は、「飲んだときに自分の舌がよろこぶ豆を選ぶのが一番」とのこと。今回は100%コナコーヒーを使用。

■コーヒー豆をミルで挽く

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 コーヒーを粉にするためのミルは、手回しでも電動でもかまわない。愛着のわくものをセレクトする。飲む直前に挽くと、豆の味や香りをのがさない。コーヒーは、1杯180mlあたり豆14gが目安。スケールできちんと量るとベター!

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 豆の挽き方で味が変わる。最初はグラニュー糖くらいの中挽きに。そこから粗めなのか、細かめがいいのか、挽き方を変えていくと「好み」が早く見つかるそう。

■フィルターを用意

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 淹れ方は、庄野氏が「人柄が出るから好き」とおすすめするペーパードリップをセレクト。フィルターは台形と円すい形の2タイプが多いが、円すい形を使った。シール部分を折るのをお忘れなく。

■ペーパードリップでコーヒーを淹れてみる

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 まず、ポットに入れたお湯を、コーヒーの上に10円玉くらいの「の」の字で1回注ぐ。つづけて500円玉くらいの大きさになるまで注ぐ。お湯を置く感じでやさしく。最初は慣れず、横のほうにお湯がそれてしまった…。ひとまず、この状態でコーヒーがふくらむのをじっと見守る。庄野氏いわく「ハンバーグみたい」にふくらむように。

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 ハンバーグのようにふくらんだら、その形を保ちながら、一定の速さで「の」の字を描きながらお湯を細くゆっくり注いでいく。ハンバーグハンバーグ…。

 この「細くゆっくり」が最初は難しい。特に、円すい形のフィルターはお湯がストーンと落ちるから、ゆっくりと注ぐのがポイント。難しい場合は、もっとお湯がゆっくりと落ちる台形のフィルターに替えてもいいかもしれない。慣れてきたら、注ぐ速さや温度を工夫して、味を調整してみたい。

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 お湯が残っていても、目安の量がきたらサーバーから外す。そうしないと、泡の中にあるエグミが一緒に落ちてしまう。きちんと量ることが、おいしいコーヒーへの近道。

■完成!

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 コナコーヒーの香りが心地よく漂う。庄野氏によると、コーヒーのつけあわせにはチョコやケーキもいいけど、塩味のあるナッツなどもおいしい、とのこと。

 す~っとお湯を落としていくドリップは、初めての人はすこし練習が必要かもしれないけど、うまくできるようになると、味わいもよくなっていく気がした。丁寧に淹れたコーヒーを口にすると、今日も頑張ろう、という気持ちになるから不思議だ。

「世界中の人がおいしいっていうコーヒーなんてない。自分がおいしいと思うコーヒーが一番」

 そんな言葉とともに、本書にはコーヒーを淹れるのに本当に必要なことだけが綴られていた。最初はつい肩に力が入りがちだけど、大事なのは「無理をしない」「個性があっていい」「その日によって味が違ってもいい」というリラックスした気持ち。ある程度の手順や道具を大切にしながら、そのときに飲みたいコーヒーを、そのときの気分で淹れればいい。本当にシンプル。

 穏やかな文体からは庄野氏の人柄のよさが伝わるが、彼のブログを読んでいると、日々葛藤しながら「おいしいコーヒー」に真摯に向き合う姿が伝わってくる。本来はとてもストイックなのかもしれない彼が、巡り巡ってこのシンプルな方法にたどり着いたと思うと、とても説得力がある。

 ところで、そんな彼が焙煎したコーヒーは、どんな味がするのだろうか。アアルトコーヒーの豆はお取り寄せもできるらしいので、今度はアアルトコーヒーの豆で自分らしい淹れ方を探してみたいと思う。

文=麻布たぬ