着回すからダサくなる! 日本人女性にかけられた根深い“バリエーションの呪い”

生活

2015/7/19

 いつも似たような服を着ている。正確には、いつも“同じ”服を着ている。センスがまるでないため、組み合わせを変えると途端にダサくなってしまうのだ。「ワンシーズンこの1セット」と決めたら、それを着倒すことにしている。ワンシーズンに2回も3回も会う人はそう多くないので、問題ない。

 とは言え、ファッション誌の「1カ月着回しコーデ」を見るたびに迷う。女として生まれたからには、いろいろなテイストの服を来て、お洒落を楽しむべきではないのだろうか。見よ、モデルたちのイキイキとした写真を! …しかし、だ。『服を買うなら、捨てなさい』(地曳いく子/宝島社)にこうある。

「セレブやブロガーが服をたくさん持っているのは、彼女たちがおしゃれを職業にしている“プロ”だから」

「雑誌の写真は、カメラマンはじめメイク、スタイリストなどその道のプロがよってたかってモデルに“着こなさせる”わけだから、そもそも、私たちの日常着と同じに考えてはいけない」

「雑誌の記事はおとぎ話」

 本書によると、日本に住む女性は「バリエーションの呪い」にかけられている。バリエーションの呪いとは、「女子とは、毎日違う恰好をしなければいけない」という思い込み。男性は毎日同じスーツなのに、なぜか女子だけが1カ月着回せるだけの服を大量に揃え、かつ着回しのパターンをあれこれ考えなくてはいけない。なんという理不尽!

 この呪いの怖さは、「バリエーションを増やそうとするあまり、微妙な服をワードローブに混ぜてしまう」ことだと著者は指摘する。確かにファッション誌の1カ月着回しコーデでも、「正直、この組み合わせは無理があるだろう…」というものが混ざっているものだ。名だたるファッション誌の数々でキャリア30年超スタイリストを務めてきた著者ですら、少なくとも2日はダサいコーデの日ができてしまうという。

 バリエーションは少なくていい。むしろ少ないほうが正しい。「ジャクリーン・オナシスやオードリー・ヘップバーンの名前を聞くと、彼女たちが着ているもの、髪型、メイクなどがパッとすぐ浮かんでくるでしょう。それは、彼女たちのファッションや顔がいつも同じ、ワンパターンだから。そのワンパターンこそが、“スタイル”なのです」――。なんとあのオードリー・ヘップバーンがワンパターンだというのに、ワンパターンを恐れてバリエーションに走るというのも女として馬鹿らしい。

 では、いつも同じ服を着ている私はワンパターンだから正解かと言うと、それもまた違うようだ。5年前に購入した黒ジャケットを未だに愛用しているが、ベーシックアイテムこそ“アップデート”しなくてはならないという。去年は似合っていた服が、なんだか古臭い…。同じアイテムでも、よく見ると襟ぐりの開き具合や、着丈の長さなど、どこか微妙に違っている…。「そういうわずかな変化、それこそが流行であり、今の空気」。微妙な変化をアップデートすることで、いつ見ても今時のスタイルを保てるのだそうだ。

 バリエーションの呪いを解き、まずは要らない服を捨てること。本書には、捨てるべき服の基準や、捨て方のコツについて詳細に書かれている。忠実に実行すれば、かなりの数の服を効果的に捨てられるはずだ。そして素敵な服だけが残り、有意義な買い物ができるようになる。読めば必ず、「今すぐクローゼットを整理したい!」とウズウズしてくる一冊だ。

文=尾崎ムギ子