必要なのは「センス」ではなく「技術」 パーソナルスタイリストが「一生使える服選びの法則」を伝授!

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公開日:2015/7/28

 「オシャレになりたい or なりたくない?」と聞かれれば、大半の人が「なりたい」と答えるだろう。だが、堂本剛やオダギリジョー、中田英寿ののようなレベルまでオシャレになりたいかと聞かれると、逆に大半の人が「いや、あそこまでは……」と答えるのではないだろうか。

 この想像が正しいとすれば、世の大多数の人はおしゃれになりたいと思いつつも、「そこそこのオシャレ」を目指していることになる。そんな人にこそ読んでほしい本が、パーソナルスタイリスト・大山旬氏の『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』(ダイヤモンド社)だ。

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 何とも長いタイトルだが、「オシャレにはなりたいけど、そこまで高い服は買いたくない」「理想の服を探して何軒もショップ巡りをしたりするのは面倒」みたいな人は実際に多いはずだ。ではそんな人は、いったい何を買えばいいのか。

 著者はまず「シンプルなトップス」「シンプルなボトムス」「長く使える上質な小物」だけを買うべきと伝える。そして「大人のファッションは”ふつう”が一番大切」とも述べている。

「ええっ、普通の人の自分が普通の服なんか着たら、普通さが際立っちゃうんじゃないの? 何かこう、ひと目でオシャレと分かる服を着ないでいいの?」と思う人もいるはずだが、実はその考えこそが、服選びが苦手な人が陥りがちな落とし穴なのだそう。

 著者いわく、服選びが苦手な人ほど「わかりやすい特徴のあるデザイン」に魅力を感じやすい傾向があるのだという。そしてそのようなデザインの服は、「必要以上におしゃれに見せようと背伸びをしている様子が相手に伝わってしまう」らしく、「むしろ安っぽく見えてしまう」というのだ。……我が身を振り返ると顔から火が吹き出そうになるが、深く納得できる話だ。

 また「シンプルなアイテムを組み合わせたら、それこそ何の特徴もない着こなしになっちゃうんじゃないの?」という心配もしてしまうが、著者いわく「むしろベーシックなアイテムだからこそ、一つ一つの個性がぶつからないため、様々な着こなしが可能になる」とのこと。これも「言われてみれば確かに!」と思えることだろう。

 ここまで書いてきたことは、本書の冒頭部分に記された基本中の基本のことなのだが、その後はさらに具体的なアドバイスも多く書かれている。

 たとえばアイテム選びでは、どれもシンプルかつベーシックで、上質なものを……としつつも、「価格差ほど見た目の違いが出にくいジーンズは、ユニクロのものでOK」なんていう節約法も教えてくれる。

 そしてそしてオススメのショップも、ショップ店員との接し方も、ちょうどいいサイズの見極め方も教えてくれるし、「そもそも今の自分の服装では気後れしてしまって、おしゃれな店に入りづらい」という人へのアドバイスまでも書かれている。本書の内容は極めて実践的であり、そこでは「センス」が求められることは一切ない。

 著者いわく、「洋服の着こなしに最も必要なのはセンスではなく、技術」なのだ。

「オレってファッションセンスないからなぁ」とファッションについて諦めている人は多いかもしれないが、この本はそんな人が「ふつうのオシャレ」に最短距離で、時間もお金もかけずにたどり着くために最適の1冊と言えるだろう。

文=古澤誠一郎