プロレス女子ブームについてぶっちゃけどう思う? 愛読書も公開!【プ女子座談会後編】

スポーツ

2015/8/3

 新日本プロレスの真夏の祭典「G1 CLIMAX 25」が開幕する中、プロレス女子=プ女子による座談会も熱い盛り上がりを見せている。前編では、集まっていただいたプロレス女子それぞれの「プロレス遍歴」を語っていただいた。今回は、プ女子の愛読書あれこれを眺めつつ、現在のプロレスブームについて、どう感じているか“リアル”な声をお聞きした。

現役プ女子がオススメするプロレス本とは?

今回プ女子の皆さんに持ってきていただいた新旧さまざまなプロレス本

――ひととおり自己紹介をしていただいたところで、まず、こういったプ女子向けというか、女性をテーマとしたプロレス本がいくつか今、発売されているんですが…

 全力でプロレス技を掛け合う謎の女子中学生を描き“プ女子”という名称を世に知らしめた『プ女子百景』(広く。/小学館集英社プロダクション)。それと、女性人気の高い新日本プロレスのオカダ・カズチカ選手をフィーチャーした『もえプロ♡スペシャル オカダ・カズチカ』(清野茂樹:著、能町みね子:イラスト/パルコ)なんですけど、これらについてどう思いますか?

なつみ:これ(『プ女子百景』を手にとって)、持っているんですけど、好きな技のページに付箋を貼ってます。

――おお、ここに『プ女子百景』的な意味でのリアル“プ女子”が!

マツモト:いい話! これはもう、著者の広く。さん自身が、かなりのプロレス女子なんですよね。

彩藤:技辞典ってなかなかありそうでないんで、すごく良い本だと思います。

――こっちの『もえプロ♡スペシャル オカダ・カズチカ』はどうですか? わたし自身プロレスファンではあるんですけど、この本についてはちょっとわからないなっていう部分もあって。たとえばオカダ選手が壁ドンをしているていのグラビアとか、オカダファンならキュンってなるんですかね。

ぴた:オカダ選手のことをすべて集めたい、知りたい、って人からすれば、これは宝物になりますよね。

マツモト:今の人気レスラーって、みんなすごく可愛げがあるんですよね。それはたぶん小橋さんとかレジェンドレスラーにはない部分で。強くてカッコいいだけじゃなくて可愛げがあるっていう。新日で今、すごく売れているDVDがあるんですけど、それは試合集とかじゃなくて、CHAOS(ケイオス:新日本プロレスのヒールユニット)の人たちが学ランを着て、修学旅行に行くとか学園生活を送るっていう、そういうちょっとファン向けの仲良しムービーみたいなものなんです。わたしはわりとそういうのもいいじゃないって思うんですけど。

彩藤:じつはわたしオカダの試合を観たことがないんですよ。自分の中であんまり受け付けなくて…。あの派手さが苦手なんですかね。(自分が持ってきた小橋選手の特集本のグラビアをめくって)この時代って、まったく派手さがないでしょ。 本自体のつくりも、無骨なデータや文字がすごくぎっしりで。わたしはこれ、今でも枕元に置いて寝ますよ。

マツモト:なんかありがたみがありますよね。まあただ、『もえプロ』にしても、必要な層ももちろんいるんだろうし、買って楽しく読めるんだけど、プ女子全部がこれを求めているかっていうと、決してそうではない、と言いたいですねわたしは。

――今回、皆さんそれぞれおすすめの本も持ってきてくださったのですが、順番に紹介していただけますか?

彩藤:ではわたしから。やはりわたしは、プロレスファンの教科書といいますか『週刊プロレス』(ベースボール・マガジン社)です。これはもう、週刊の専門誌としては、週刊ゴングの廃刊以降、唯一の雑誌になってしまいましたね。定価500円でこのボリューム、そしてキオスク、コンビニ、どこででも買える。今のプロレスの流れを知る上でのまさに教科書。わたしはバックナンバーも大切にとってあります。

マツモト:週プロ、試合写真がイイんですよね。頼むからこの写真のアーカイブをネットで公開してくれ! って思うときある。

なつみ:わたしが持ってきたのは『装鋼麗女 4』(ベースボール・マガジン社)です。これは、たとえばこの号だったらSareee選手(ワールド女子プロレス・ディアナ所属)だったり、そのとき勢いがある女子選手が載っていて。雑誌だと一括の扱いで、1試合に有名な人が出ていたらその人だけがクローズアップされちゃうんですけど、これだと若手、中堅、レジェンドみたいな感じでそれぞれの注目選手が載っています。

彩藤:これに指名された選手は、撮影までにかなり厳しく体を作るんですよね。ただ可愛いだけじゃないっていう。あくまで女子レスラーの強さとかカッコよさとかを表現している。

なつみ:女子の選手はなかなか雑誌でも扱ってもらうことが少ないですし、本当にカッコいい人たち、頑張っている人たちがたくさんいるのに、メディアに扱ってもらえないで埋もれていくのが悲しいなって思います。「装鋼麗女」シリーズは、そういう人たちをじっくり見ることができて、お気に入りの選手を探せるのでオススメしたいですね。

マツモト:わたしは、先ほど『ゴング』が廃刊にっていう話があったんですけど、つい最近、月刊のムックになって帰ってきまして。前のものとは本当にもう別物なんですけど、この新生『ゴング』(徳間書店)を持ってきました。

――デザインがもうオシャレですよね。

ぴた:うんうん、音楽雑誌みたい。

彩藤:これだったら昔のわたしも本屋さんでビクビクしないで買えた感じですね。わたしのときって、本当に周りにプロレスファンがいなかったんで、ぜんぜんカミングアウトできなくって。生まれて初めてプロレスの本を買うときは、となり町の本屋まで行って…それこそ男子が初めてエロ本買うみたいな。レジに出すのも、店員さんに目をそらしながらでしたよ。

――まあ、男の裸がいっぱい載っている本ですしね(笑)。

彩藤:これなら当時のわたしも手に取れたと思います。

マツモト:手に取りやすいっていうのもあるんだけれども、何が良いかって、本当に写真がすごく良くて。あと、やっぱり今って試合内容とかはネットで見れちゃったりするし、みんなTwitterで実況してたりとか。これは試合の内容っていうより、選手の人となりや試合前の様子みたいなものをインタビューしているんです。聞き手の地の文も多くて、まるでその場で雑談しているみたいなところがあって。写真がとにかくいっぱい載っていて楽しいところと、文章もなかなかいいですよっていうのがオススメですね。

“プ女子”ブームは、実際のところどう思っているんですか?

――いろいろと皆さんに「プロレス本」のおすすめポイントを教えていただいたんですが、最後に、最近のプ女子ブームについてはどう思いますか?

マツモト:大きい会場に行ったりすると、盛り上がってきている感じはすごくありますよね。わたし、2年くらい前に大阪にG1 CLIMAX(毎年夏に行われる新日本プロレスのトーナメント戦)を観に行ったんです。出張のついでにもう1泊とって(笑)。で、そしたらギャルの女の子が、ヤングライオンTシャツ(新日本プロレス公式のライオンモチーフをあしらったTシャツ)をカスタマイズして、すっごく可愛く着てたんですよ。“ええ~、こんな子も観に来るんだ!”って。わたし、東京ではあんまり大きい会場のビッグマッチには行っていなかったので、そこまではっちゃけて、イベントだから楽しむぞ、みたいな人を見たことなくて。でもこういう女の子たちも観に来るようになったんだな、って、そのときにプ女子ブームみたいなものを感じましたね。

彩藤:わたしは、来ていただいて裾野が広がるのはいいんですけど、浅いからこれがどこまで続くのかっていう不安はありますね。

ぴたこれからのプロレスを支えていくのかい、キミたちは? ってことですよね。

彩藤:応援している男子選手が結婚しちゃうとファンがどっと減るみたいな、そういうのはナシにしていただきたいっていうのはありますね。

なつみ:プロレスの練習をしている人でも、男子のあの選手が好きだから、近寄りたいからってことで始めるかたもいるみたいです。女子の試合も観たことがないのに、ってちょっと思っちゃうんですけど…。

――でもそういうタイプの女性ファンは昔からどのジャンルにもいますよね。入り待ち、出待ちをして、選手に顔を覚えてもらって…とかいうのがプロレスは特に多い気はしますけど。

マツモト:距離をすごく近く見ている人っていうのはいるにはいるけれども、それは昔からですよね。なんかその、こう言っちゃなんですけど“肉目当て”みたいな女性のかたのレベルは、ここにきてガッと上がっていると思う。ほんとになんとなくの、体感なんですけど。そっち系の人のレベルはすごい勢いで上がっていると思います。

彩藤:プロレスラーって、会場にいる、お話もできる、写真も撮れる、チケットを頼める、なんなら通っていれば覚えてもらえる…そんなにすんなり近くなれるのってほかのジャンルではなかなかないんですよね。今わたし、演劇で好きな役者さんがいて観に行ったりしているんですけど、プロレスの距離感を知っていたから、「なんか距離、遠いな!」って。改めてプロレスの選手とファンの距離の近さにはびっくりしますね。

マツモト:だから逆にいえば、もえプロ』みたいなアプローチのほうが健全なんですよね。まあでも増えたファンが全部そういう目的かというともちろんそんな感じでもなくて。最近観戦するようになった人に「なんでプロレス好きになったの」って聞いていったら、友達の紹介でっていうのがすっごい多いんですよ。もともと隠れて好きだった女性ファンの人たちが、プ女子ブームに乗っかって女の子の友達を誘い出すようになって。それで、初めて観に行って超楽しかったって話をよく聞きます。

――プロレス団体でも、DDTとかは特に、峰なゆかさんや犬山紙子さんといったカルチャー系の女性がこぞってプロレス観戦のとっかかりで観に行っている印象がありますね。

マツモト:基本的にそういうかたがたって、発信力があるのはもちろんなんですけど、そもそも超絶ウソがつけない人たちだと思うんです。つまらないものはつまらないって言うイメージが私にはあって。それで信頼感を寄せられているっていうのはあると思います。「面白いんだそんなに、じゃあ観に行ってみようかな」っていう。女子がハマってもいいんだ、ってなったのがそのへんからなのかなって思いますね。

――女性が声高に「プロレスが好き」って言ってもいい空気が醸成されてきたっていうことなんですね。潜在的なファンが掘り起こされて、それをメディアがこぞって取り上げて…という。皆さんに集まってもらって、プロレス女子の熱量はやはり半端ないなという印象を受けました。今日はありがとうございました!

 プ女子とひとくちにいっても、楽しみ方は人それぞれで、ひとくくりにはできないものだ。一過性のブームとして終わらずに、女性ファンの力でさらにこれからのプロレス界が活気づいてくれることを願ってやまない。

取材・文=本宮丈子