離婚? それとも応援? もしも、夫が突然「会社やめたい」と言いだしたら…

生活

公開日:2015/8/4

 結婚して主婦の座に落ち着いた女性のみなさん。いつまでもその安定が続くと思っていませんか? 終身雇用制度もいまや昔。夫がクビにならない、とは誰にも言い切れない。ましてや、ある日突然、「オレ、会社やめたいんだけど…」なんて言いだすことだってあり得る。そうなったら、いったいどうする!?

 『ダンナが会社やめたいと言いだしまして』(「会社やめたいダンナ」の妻の会:著、ichida:イラスト/PHP研究所)は、そんな現実に直面してしまった妻たちをレポートした1冊。登場するのは、離婚スレスレまでいってしまった夫婦や、妻が仕事に目覚めた夫婦、あっけらかんと受け入れた夫婦など、実に多種多様だ。そこで、いくつかのエピソードから、「やめダン」対処法を学んでみよう。

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大企業をやめてネット古書店を開業するというダンナ

 超大手企業に勤めていた河野さんは、44歳という年齢で「ネット古書店の経営」に目覚め、会社をやめたいと言いだした。もちろん奥さんは大反対。そんなことをするなら離婚する、と鬼の形相を見せた。ところが、事業のすべてを自分で仕切れるということに魅力を感じていた河野さんは、意志を曲げなかったそう。ある日、ついに辞表を提出し、その足で役所へ行き、離婚届も用意した。離婚してでも自分のやりたいことを貫きたかったのだ。
 それに対し奥さんは、「家庭内無視」をなんと一年間も続けるという手段で対抗。その後、ネット古書店の経営が軌道に乗ってきたこともあり、夫婦仲は自然と良くなったとか。

YouTubeの動画制作で食べていくというダンナ

 いま、お金を稼ぐ手段としても注目されているYouTube。アリケイタさんは、結婚直後に仕事をやめ、その動画制作で食べていくことを決意した「やめダン」だ。
 結婚直後に仕事をやめるなんて、不安材料にしかならなそうだが…、アリケイタさんの奥さんは違った。もともと動画作成に情熱をかけていたことを知っていたので、彼をサポートすることを決意。しかも、彼が不安を覚え、「やっぱりバイトしようかな」と相談すると、「やらなくていいから、もうちょっといまのやり方を続けてみな」と、背中を押してあげたそう。その結果、少しずつ仕事が舞い込むようになり、いまでは楽しい毎日を送っているという。

医療機器メーカーをやめてラーメン屋になるというダンナ

 医療機器メーカーの営業職からラーメン屋に転身をはたした佐藤さん。奥さんがそれを受け入れたのは、「会社のグチを聞きたくなかったから」だとか。
 給料も悪くなく、気質的にも営業職に向いていた佐藤さんだが、いつしかやたらと会社のグチをこぼすように。上司と合わない、会社がつまらない…。そんなグチを延々と聞かされるくらいなら、もともと好きだったラーメンを仕事にするのもいいかもしれない。奥さんは佐藤さんの決意を、半ば諦めるカタチで受け入れた。いまでは、「子どもが継げるくらいの店にする」と頑張っているそうだ。

育児がしたくて勝手に会社をやめたダンナ

 川崎さんは、「子どもと過ごす時間を作りたい」という理由で、奥さんに相談もなしに会社をやめた。あまりにも突然のできごとで、奥さんは怒る気にもならなかったとか。
 けれど、そこから毎日考えるのは、生活のこと。貯蓄はあるけれど、少しでも稼がなければ…。そこで奥さんが目をつけたのは、ネットオークション。高級化粧品のサンプルや、蔵元から仕入れたお酒を転売するなどして、順調に利益が伸びるようになった。そしてついには、それまでの功績が認められ、財テク術の作家としてデビューすることに! いまでは、主婦作家としてコメントを出したり、記事を書いたりしているというから驚きだ。

 良くも悪くも、人生が変わるきっかけとなる、夫の退職。けれど、そこから人生を好転させるのは、妻の力量次第なのかもしれない。そう思えば、もしも明日夫から「会社やめたいんだけど…」と打ち明けられても、ドーンと構えていられるかも…しれない。

文=前田レゴ