知らないと損!? 漢方薬が得意とすること

健康

2015/8/18

 暑い日が続き、「なんだか体調が優れない」「疲れが取れない」と不調を感じる人が増えるこの時期。しかし病気とまではいかない“未病”の状態は、忙しさの中で追いやられ、無視されがちだ。でも、健康と不健康の境目はどこにあるのか、ということを考えると、病気だと診断されるか否かで判断してはいけないように思う。

からだとこころの環境 漢方と西洋医学の選び方』(伊達伯欣/Pヴァイン)では、体からのサインをもっと重要視し、漢方薬の力を借りることを提案している。私たちは、日常で頭が痛ければ頭痛薬、風邪をひけば風邪薬など、早急に効果を発揮してくれる西洋薬につい頼ってしまう。しかし西洋薬は、化学物質で痛みや発熱をブロックしているだけで、根本的には何も解決していないらしい。もちろん薬によってしっかり眠ることができ、結果的には回復する。だが結局それは“その場しのぎ”でしかないという。

 東洋医学として発展してきた漢方薬は、西洋薬とは全く異なる観点から体を活性化させていく。病状によっては即効性が重要なこともあり、西洋薬で命を救われることもある。 “使い分け”が大切なのだそうだ。では東洋医学、そして漢方薬とは、具体的にどのようなものなのだろうか。

「西洋薬は消し去る力、漢方薬は生み出す力が大きい」

 漢方薬と西洋薬の違いは、天然の力を用いた成分か、化学合成された成分か、という差だそうだ。化学は生命を生み出すことや増幅させることはできないが、症状を消すということにおいては非常に優れている。
 一方、東洋医学、鍼灸や漢方薬などは、消す力よりも生み出す力に長けている。自然が持つ生命力を体内に取り入れることで気を正し、自身の生命力を高めようという考えだ。

川の水のような役割を果たす、「気」を診る。

 東洋医学では、その人の状態を診て気の量と流れを知るらしい。本書では、「気」は川の水のようなものだと例えている。そして「血」は土地の栄養、血以外の体液は、大地を潤す水としている。気の量が多ければ、体に栄養をどんどん運び、ウイルスや細菌、老廃物などは押し流してくれる。しかし「気虚」という気が少ない状態になると、流れが悪くなり、整地が追い付かなくなってしまう。東洋医学では、こういった症状への治療を漢方薬などを使って行い、気の流れを良くして体を整えていく。

医食同源

“漢方診療の良さは、漢方薬によって症状が改善した患者さんが「医食同源である」と理解してくれること”と著者は本書で語っている。漢方薬による改善が、「あなた=食べたもの」で、「今ある自分の手足や目、脳は、以前食べたあの肉や野菜、穀物からできている」ということの裏付けとなってくれるのだ。
 症状の原因を、自分の食生活の中から見つける習慣をつけるのも、重要なことなのだそう。実際、食生活が乱れると、「だるい」「肌荒れがひどい」など体調に現れてくる。そうなった時に、ただ西洋薬でごまかすのではなく、日々の生活を見直し、漢方薬や食生活で体を回復させていくことが大切なのだ。

 西洋医学では、免疫学などまだまだ未発達で、解明されていないことも多い。そのためアトピーや喘息などの患者には、とにかくステロイドという、体内の副腎皮質ホルモンの類似物質を処方する、というケースがほとんどだ。これは、免疫反応を抑えて炎症を止める働きを持っている。しかしステロイドは、東洋医学でアレルギーの根本原因とされている「気虚」や「瘀血(おけつ)」という状態を引き起こす。これではいたちごっこだ。筆者も物心ついた頃からアトピーでステロイドの塗り薬を使っているが、ちょっとよくなったと思っても、やめるとすぐに酷くなるのはそういうことなのだろう。

 しかし東洋医学は、自律神経失調症やアレルギー、不眠や鬱などの改善を得意分野としている。実際、本書の著者も、抗ヒスタミン(アレルギーを抑える薬)やステロイドを少しずつ減らしていけるよう、漢方を併用して治療していくそうだ。

からだとこころの環境 漢方と西洋医学の選び方』には、他にも体に悩みを抱えている人にぜひとも読んでほしいことがたくさん書かれている。筆者は本書を読むまで、何となく漢方薬というものに怪しさを感じていた。しかし読んでみると決してそんなことはなく、きちんと処方してもらえば西洋薬では治らなかった症状も改善できる可能性を秘めている。日本は、病院で診察を受けて処方してもらえば、西洋薬、漢方薬ともに保険制度が適応されるそうだ。体に不調のある人は、一度本書を読んで病院で相談してみるのもいいかもしれない。

文=月乃雫