働くお母さんは、働くことに罪悪感を抱いてはいけない「子どもは放っておかれる時間で育っている」

出産・子育て

2015/9/1

 共働きやシングルマザーなど「働くお母さん」が増えている。とにかく時間がないので、子どもの話に耳を傾けられなかったり、急き立ててしまったり、先回りで全部準備をして子どもが失敗する機会を奪ってしまったり。ふと我に返ったときに押し寄せてくる「私が働いているばかりに…」という罪悪感。一緒にいてあげられない、きちんとしつけをしてあげられない、勉強を見てあげられない…。こういった悩みに陥ることを「してあげられない病」と名づけ、かからないようにして欲しいと説くのは、『働くお母さんの子どもを伸ばす育て方』(実務教育出版)の著者・高濱正伸氏。学習塾「花まる学習会」の代表で、テレビや教育雑誌などにも登場する高濱氏は、本書で「大丈夫、みなさんのお子さんもきっと、たくましく育つ」と断言しつつ、「働くお母さん」ができる子どもの育て方を紹介している。

 「働くお母さん」には、共通する特徴がある。それは、「時間感覚に優れ」「要約力(効率性)がある」が、「子どもに自分と同じスピードを要求してしまう」ということ。自分がテキパキこなすことに慣れているため、子どもにも「短い時間で最大の効果」を求めてしまいがち。最低限のことだけ最短時間でこなし、ふれ合いは後回し…というループで罪悪感にさいなまれるのが「働くお母さん」だが、本書によると「愛情の深さは時間ではない」。ズバリ、愛情は「頻度」。例えば、1日に5分、ぎゅっと抱きしめるだけで、十分に愛情を伝えることができるという。その替わり、5分間は濃密に(本書いわく「できればベロベロ舐めるくらいの勢いで」)。子どもは愛情に敏感だが、「短くてもいいので、濃く、毎日」という鉄則が守られていれば、横道にそれることはない。

 本書によると、「母親というのは、子どもに寂しい思いをさせてしまったことを悔いる生き物」だが、そんな自分を責める必要はないという。なぜなら、子どもは実は「放っておかれる時間で育っている」から。自営業の両親が一生懸命働いている姿を見てきたため家に引きこもるという選択肢がなく、たくましく育った子どもの例を出しつつ、「子育ては、自分を見失うほど一生懸命やる必要はない」と述べている。手作りご飯にこだわる母親に対しても、「必死で作ったご飯を黙々と食べるよりも、一緒に笑顔で会話しながら食べる外で買ったご飯のほうが子どもは好き」とキッパリ。また、よくあるケースが「いつも寂しい思いをさせているから」と、不必要に物を買い与える母親だが、これはNG。親の一貫した基準がない言動は子どもの成長によくないため、ねだられても「ダメなものはダメ」とぶれずに言い切ることが重要だという。

 働くことに後ろめたさを感じていると、それが子どもにも伝わり「自分は恵まれていない」「お母さんに悪いことをしている」というマイナスの感情が芽生えてしまう可能性がある。「働くお母さん」は、すでにマイノリティではない。働く自分に自信を持ち、その姿を子どもに堂々と見せつつ、「短くても濃く、毎日」の愛情表現で頑張ってもらいたいと、応援メッセージを送っている。

文=ルートつつみ