シュール&グロかわいい! 頭から手足が生える凄惨な伝染病…WEBマンガ『パペラキュウ』の魅力とは

マンガ

公開日:2015/9/1

 人気作品もいいけれど、たまにはちょっとクセのあるマンガも楽しみたい。そんな好奇心旺盛なアナタにぜひオススメしたいのが、漫画家・松永豊和が個人サイトに掲載しているWEBマンガ『パペラキュウ』だ。表紙のファニーなタイトルや絵柄から、ほのぼのした内容を想像したら大間違い。グロやバイオレンス、急転直下のハードな展開が盛りだくさんなのだ。ちょうど『チャーリーとチョコレート工場』で知られるティム・バートン映画や世界一残酷な絵本作家とも称されるエドワード・ゴーリーの絵本のように「ファニー」と「グロ」の”さじ加減”が絶妙で、ちょいグロが好きな女子はもちろん、飽食気味なマンガファンたちも、スパイスの効いた強烈な世界観にドップリとトリップできるだろう。

『パペラキュウ』表紙

 この作品で特にキャッチーなポイントは、タイトルにもなっている「パペラキュウ」。一見すると”ひょうきん”なネーミングだが、実は作中で人々から忌み嫌れる、恐ろしい伝染病の名前なのだ。そしてとりわけ目をひくのはその独特な症状。パペラキュウに感染した人間は、まず頭がパンパンに膨れてしまう。そして驚くべきことに、頭の横から小さな手足が「ぐぱっ」と生えてくるのだ。

 これだけでもかなりハッチャケた病状だが、さらにアグレッシブな展開が待っている。頭から生えた手は”ハサミ”になっており、感染者の意思とは無関係に動いて、なんと髪の毛と耳を「ちょっきんちょっきん」と切り落としてしまうのだ。文字にするとシュールだが、その描写はとても凄惨で痛々しい。緻密なタッチで描かれているので、見応え&迫力もタップリ。「ちょいグロ好き」であれば、シュール&ショッキングな光景をぜひ1度その目で確かめて頂きたい。

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シュール&グロテスク。衝撃的なパペラキュウの発症シーン

 さて、ここまではパペラキュウの「シュール」「グロテスク」な魅力について触れてきたが、本作の見どころはそれだけではない。それはこの作品の主人公・マモルと、パペラキュウに感染している少年・サチオの心温まる友情だ。しかしその友情描写も独特で、巷によくある”ハートフル一辺倒”ではない。「差別」や「罪悪感」といった複雑な感情も入り混じった、少年期ならではの繊細な心理描写を見事に描き切っている。そのデリケートでピュアな交流には、誰しも胸を打たれてしまうだろう。

胸を締め付けるような熱い想いに、思わず涙腺が緩んでしまう

 ちなみに作者の松永豊和先生は、伝説の連載作品『バクネヤング』で怒涛のバイオレンスを描ききった”ハードな暴力描写”の名手でもある。本作は個人サイトで発表している分、エグイ表現も容赦がないのでバイオレンスな面白さも存分に楽しめるのだ。

 様々な要素が絶妙に入り混じり、不思議な魅力にあふれたマンガ『パペラキュウ』。正直、もし書籍化されていれば、全国のヴィレッジヴァンガードで店員のコメント付きで平積みされていてもオカシクないぐらい良い意味でクセのある作品だと思う。毎月1日の正午ぐらいにアップされるので、ちょうど本日、最新話を読むことができる。どんなマンガでも百聞は一見にしかず。少しでも気になった方は、その魅力をぜひ一度、実際にあじわってみてはいかがだろうか。

文=西山大樹(清談社)

あの松永豊和は今『パペラキュウ
http://book.geocities.jp/monene39/paperakyu00.html