段取りの“段”は石段の“段”だった! 住まいにまつわる言葉の語源を知る

社会

2015/9/4

 言葉にはそれぞれ由来がある。そのルーツは様々だが、慌ただしい毎日、唯一ホッとできる場所のようにも思える「住まい」や「建築」にまつわる言葉もたくさんあるという。

 例えば、物事の隅々に気を配る意味の「几帳面」という言葉。「几帳」とはそもそも、平安時代に貴族たちが衣装や織物を掛けるために使っていた家具である。現代のワンルームに近い間取りだった貴族の部屋では、間仕切りとしても使われていた。そして、ここでいう「面」とは、衣装や織物が傷むことのないよう丁寧に仕上げられた「几帳」の柱を意味していたため、転じて、人それぞれの性格を表す言葉になったという。

 このように「住まい」や「建築」を元にした言葉を次々と紹介してくれるのが、『段取りの”段”はどこの”段”? 住まいの語源楽』(荒田雅之+大和ハウス工業総合技術研究所/新潮社)である。家というのはとりわけ身近な存在でもあるが、同書を元に、他にもいくつかの言葉の由来を紹介していこう。

傾斜地を歩くための石段。その出来を示すのが“段取り”だった

 同書のタイトルにもなっている「段取り」という言葉。物事を進めるための順序や方法を定めていくという意味を持つが、その由来は、建築現場で石段を造成する時に使われる「段を取る」というやり取りにあったようだ。

 傾斜地に石段を設ける時には、勾配に応じて石段を何段に積み上げるかという寸法取りが行われる。完成してからの具合いにより、昇り降りしやすいか、予算にふさわしい結果となっているかを評価するにあたり、「段取りがよい」「段取りが悪い」と使われるようになり、次第に工事そのものの手際を指す言葉として意味が拡がり、さらに、建築ではない世界へと広まっていったという。

できれば言われたくない「うだつの上がらない」も建築用語

 物事がパッとしない様子を表す「うだつが上がらない」というフレーズ。この「うだつ」という言葉も、元々は「うだち」という建物の部位を表す言葉が転じたものだという。

 うだちとは、建物への重さを支えるために付けられた梁(はり)と、屋根の最上部に取り付けられる棟木(むなぎ)を繋ぐ短い柱のこと。垂直に支えるため常に棟木から圧されている役割を持つため、うだち自体は立身出世の象徴とされていた。その縁起をかつぐために、うだちのある家というのは格式ある富裕層が多かったというが、いつからか「うだつ」となり、「うだつのある家を作ることができない」という意味から「財力がない」「財産を持たない」という意味になり、転じて、現在の「パッとしない」という使われ方になったようだ。

 同書では他にも「建前」や「縄張り」、「結構」という、住まいにルーツを持つ言葉がたくさん登場する。2020年に向けて、最近何かとつぶやきたくなる「棚上げ」という言葉の由来も紹介されているが、日頃から何気なく使っている言葉の由来を知り、どこかで誰かに伝えるというのもまた面白いかもしれない。

文=カネコシュウヘイ