拝み屋にして怪談作家、郷内心瞳って何者だ!? | 夏のホラー部第5回

公開日:2015/9/6

●たとえ幽霊が見えても口には出しません

――勘違いじゃなく、本当に幽霊がついている場合もあるんですか?

郷内:ありますが、それはお客さんに極力伝えないようにしています。たとえ右肩のところに女性の生首が浮いていても、説明する必要性がない限り「生首が憑いてますよ」とは絶対に言いません。そんなこと言ったら不安になるのは、目に見えていますから。あくまでお客さんの抱えている相談事に乗るのがメイン。その流れで「一応お祓いしておきますね」「お守りを渡しておきますね」とさりげなく対処するようにしています。

――郷内さんはお化けが見えるんですよね。今年出された『拝み屋怪談 逆さ稲荷』(KADOKAWA)によれば、小さい頃から不思議なものが見えていたとか。

郷内:主観的な話になるので、自分から見えるとは言っていないんですよ。10人いて10人が同じものを見るなら確実でしょうが、やっぱり見え方って個人差がありますから。拝み屋の仕事も見えたからって特にプラスはない。それを売りにしないようにしています。

――お話をうかがっていると、郷内さんはすごく常識的、中立的ですよね。

郷内:もともと証明しようのない世界の話ですからね。できるだけフラットな立場でいようと思います。わたしだって仕事を離れれば、そこらの若者と変わりません。ゲームもすればマンガも読むし、下ネタだって言いますよ。別に普段からお経のDVDを見て、うーんと唸っているわけじゃないんです(笑)。

――その一方で、ホラーや怪談など怪しいものが大好き、というバランス感覚が面白いですよね。今日も『13日の金曜日』のジェイソンのTシャツですし!

郷内:ホラー映画の趣味が仕事に役立ったこともありますよ。よその霊能者に「お前は宇宙で死ぬ!」って言われたという方が相談に来られて、「それは『エクソシスト』の有名なセリフだから大丈夫ですよ」と答えたことがありました。

――よりにもよって『エクソシスト』からパクらなくても、ねえ。

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