日本人と変わらない? アラサーフレンチガールのリアルを仏人マンガ家が描く

マンガ

公開日:2015/9/8

 ファッションからライフスタイルまで、フレンス人に憧れる女性は多い。

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣~』(ジェニファー・L・スコット:著、神崎朗子:訳/大和書房)のようにフランス人に焦点を当てたベストセラーも多数あり、いつの時代もフランス人は日本人にとって気になる存在だ。

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 そんなフレンチガール好きな女性にオススメのマンガ『ジョゼフィーヌ!』(ペネロープ・バジュー:著、関澄かおる:訳/DU BOOKS)は、おしりが大きいことにコンプレックスを持つ、未婚のアラサー女性、ジョゼフィーヌが主人公。

 自身もアラサーフレンチガールであるマンガ家のペネロープ・バジューが描いた本書は、フランス人じゃなくてもアラサー女子なら「わかる!」と思わず頷いてしまうあるあるネタが満載だ。

 服を整理するためクローゼットの掃除をはじめるが「これはキープ」「これは買い取り」「これは誰かに……」と言いながら、結局、服を捨てられない姿や、ネイルサロンに行ってあれこれ自分の悩みを話し過ぎ、ネイリストに「カウンセラーに診ていただいたら?」言われてしまう姿はアラサー女性なら誰もが納得できるだろう。

 また、ライフスタイルだけでなく、恋愛でもジョゼフィーヌには共感できる。

 いい人ができず出会い系サイトを利用したり、恋人に結婚に向けて真剣な話をした途端はぐらかされたり、付き合った彼が既婚者だったり……多くのアラサー女性が一度は経験したことあるだろう恋愛ネタが続く。浮かれっぷりや、落ち込みっぷりもコミカルに描かれ、かわいらしいジョゼフィーヌはついつい応援したくなる魅力がある。

ジョゼフィーヌ!』はフランスでも30万部のベストセラーとなっており、フランス人も認めるフレンチガールと言えよう。『ブリジット・ジョーンズの日記』など女性のリアルな姿を描く作品にはまった人にはぴったり一冊だ。

 コミカルに描かれる『ジョゼフィーヌ!』に対して、同じペネロープ・バジューが描く『エロイ-ズ』(ペネロープ・バジュー&ブレ:著、関澄かおる/DU BOOKS)は、自分自身と向き合うシリアスなシーンも多い。

 主人公は、ある日突然、パリの公園のベンチで記憶を失ってしまったエロイーズ。持っていた鞄の中身から家にたどり着き、職場がわかり、どういう生活をしているかが判明していく。しかし、それと同時にエロイーズは少しずつ自分の過去に違和感を抱いていく。

 一見、記憶喪失の謎を追うミステリー風にも読めるが、テーマは自分探し。自分に自信が持てない、自分を変えたいと思っている人はぜひ手にとってほしい。物語のラストのエロイーズの決断。そして、語られるセリフに、フレンチガールじゃなくとも共感できるはずだろう。

 ペネロープ・バジューのマンガは、等身大のアラサー女性の姿が描かれる。いつの時代も憧れのフレンチガールとはいえ、根本的な悩みは日本人と何らか変わらない。アラサー女性なら共感できること間違いなしの内容だ。筆者も同じアラサー女性として、ページをめくる手が止まらなくなったのは言うまでもないだろう。

文=舟崎泉美