仕事も勉強もはかどる、片付けない技術とは? ―自分が使いやすい乱雑さを確立せよ

ビジネス

2015/9/9

 パソコンの周りには、書類とペンが散乱し、飲みかけのペットボトルに、飲みかけのコーヒー、しまいにはお菓子まで……という、机の上が散らかしっぱなしの人は多いのではないだろうか。筆者も片付け嫌いではないが、片付けるより散らかるほうが早く、いつも机の上が乱雑な状態になってしまう。しかし、常に片付けなければいけないと思いながら勉強や仕事をすることは精神的にも辛く、集中力にもかけてしまう。そんな片付けなければいけない強迫観念を持つ人にオススメの本が『片付けない技術』(岩波邦明/宝島社)だ。

 著者の岩波さんによると「片付けない技術」というのは、「片付けられないことが技術なんだよ」という開き直りではなくて、「たしかに片付けられないんだけど、その片付けられないことをうまく逆手にとって、片付けのうまい人たちよりも高い能力を発揮できる場をつくる技術」のことだという。

 本書には、物理学者 アインシュタインや、Facebookの生みの親 マーク・ザッカ-バーグ、第35代アメリカ合衆国大統領 ジョン・F・ケネディ、ノンフィクション作家 ジョージ・プリンプトンなど、偉大な成績を残しながらも、片付けのできない人たちの机が写真付きで掲載されている。一見するとどこになにが置いてあるかわからない机は、よくこんなところで仕事ができると思ってしまうものばかりだ。ジョージ・プリンプトンに至っては机の下にまで書類が散らばっているのだから、片付けない技術の上級者と言えるのではないだろうか。

 彼らの机を見ると、整理整頓と勉強や仕事の成績とはあまり関係ないことがわかる。また、乱雑で汚い反面、自分の好きなものが無作為に置いてある様子はおもちゃ箱をひっくり返したようで、なんだか楽しそうにも見える。この自分の好きなものを好きなように置いてある乱雑さは、仕事も勉強もはかどる要素の一つともいえる。

 著者の岩波さんも学生時代から片付けない机で過ごしている。

 すべてのモノが一目で見渡せる状態が好きな岩波さんの机の上には、東大理科III類を目指した大学受験時、各科目の参考書やプリントがごちゃごちゃと並んでおり「ヤミ鍋机」状態となっていた。

 このヤミ鍋状態をベースにした上に、これから解くプリントや、好きな置物、お気に入りのペンや消しゴムなどを、ミニチュアの街を作るように配置していった。これとは別に「今までに終わらせたプリントタワー」というエリアを作り、科目関係なしにどんどん終わらせたプリントを重ねていき自分がどれぐらい頑張ったのかを確認していった。また、ペンを持つ手に何かが当たっては気が散ってしまうので、手元だけは常に何もないクリアな状態していた。

 このように岩波さんは、乱雑な場所と綺麗にする場所を組み合わせ、自分が使いやすい乱雑さを確立していったという。自分の居心地の良いスペースで勉強したことは東大に現役合格したことにも大いに影響しているといえよう。

 本書には、前回、作業した状態を残しておくほうが、次回、作業した時に取り掛かりがスムーズになる。といったことや、全く異色なものを机に並べると新しいアイディアを産みやすい。など、片付けない机だからこそ生まれるメリットが多く書かれている。

 自分は片付けられないと思う人は、ぜひ本書を手にとってみてほしい。片付けなければいけないという気持ちから解放されて、リラックスした気持ちで作業に取り掛かれるに違いないはずだ。

文=舟崎泉美