ファミコン最後のソフトとは? ツーコンマイク誕生の秘密…ファミコンの歴史を追う『ファミコンクエスト』

エンタメ

2015/9/13

 日本の近代ゲーム史に金字塔を打ち建てた伝説の名機「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」。白とあずき色が特徴的なこのゲーム機は、発売から30年以上経つ今なおコアなユーザーから人気を得ている。ときに、ファミコンで遊んだ経験のある方は、2Pコントローラーに搭載されていたマイクがなんのためにあったのか、ご存知だろうか。

ファミコンクエスト』(冨島宏樹/三才ブックス)によると、「画面から自分の声が出たら面白いだろう」という開発者の思いつきから、具体的な使用方法はとくに決めないまま採用された機能らしい。本書には、そんな知られざるファミコンの誕生秘話から、次世代機の登場でメジャーを退くまでの12年間の歴史が再編されている。

 ライターの私もファミコン世代。子供の頃に友達と遊びつくした記憶が蘇る。当時の私たちは、なぜあんなにもファミコンに熱中したのだろうか。本書からその歴史をたどってみよう。

1983年~ファミコンの誕生~

 日本でファミコンが発売されたのは、1983年7月15日。同時発売の『ドンキーコング』、『ドンキーコングJr』、『ポパイ』はアーケードからの移植版。当時のゲームといえばゲームセンターで遊ぶのが主流で、アーケードのゲームを家庭で遊ぶことはゲーマー共通の夢だった。その期待に応えたファミコンは当時としては高スペックでグラフィックの再現度も高かったという。ハドソンとナムコを筆頭にライセンスを結びソフトを制作するサードパーティの参入が追い風となってファミコン市場にタイトルが充実していった。

 それまでも家庭用ゲーム機としては米国製の「アタリVCS」があった。しかし、メーカーの粗悪なソフト(クソゲー)の乱造によってユーザー離れを起こした通称「アタリショック」で信頼が失墜。ファミコンがその二の舞いにならなかったのは、ハドソンやナムコ、タイトー、コナミ、ジャレコ、アイレム、カプコン、アスキー、エニックス、スクウェア、バンダイ、サン電子という、現在でも知られる有名メーカーが切磋琢磨しゲームソフトの品質向上に努めたおかげだったという。

1986年~RPGブームの到来~

 ファミコン初期の人気ジャンルは、アーケードゲームの王道のアクションとシューティングだった。ファミコン売上歴代1位の『スーパーマリオブラザーズ』は、681万本という大記録を達成。国内で単体ソフトとしては、この記録は今もやぶられていない。1986年には『ドラゴンクエスト』が発売、『ファイナルファンタジー』、『女神転生』、『ウィザードリィ』が続き、これら“ファミコン4大RPG”の登場でRPGブームが巻き起こる。それまでの反射神経やテクニックを駆使するゲームから、じっくりと腰を据えて楽しむゲームへと流行の転換期を迎えた。

 その頃から思考系ジャンルが花開き、『信長の野望』や『ダービースタリオン』などの高年齢層を意識したシミュレーションゲーム、『ポートピア連続殺人事件』や『探偵 神宮寺三郎』などの謎解き要素のあるアドベンチャーゲーム、『テトリス』や『ドクターマリオ』などのパズルゲーム、『桃太郎電鉄』や『いたただきストリート』などのテーブルゲームが広がりをみせていく。アーケードにはない家庭用ゲーム機ならではのジャンルの多様化で、さまざまな趣味嗜好を持った客層を引き込めたのだという。

1988年~メディアも巻き込むゲームバブル~

 メーカーが製品版に残したバグやデバックコマンドを「裏技」という言葉で定着させたのは『コロコロコミック』が発祥。シューティングゲーム『ゼビウス』は、無敵コマンドが『コンプティーク』に掲載されたことでソフトの売上も伸び、100万本を越えた。『グラディウス』の隠しコマンドの「上上下下左右左右BA」は、“コナミコマンド”として以後のコナミ作品でも踏襲されるようになる。「裏技」がメーカーの個性にもなったのだ。

 出版社もこぞってゲームの裏技特集を雑誌の目玉として取り上げた。メーカー側もメディアを通じて積極的に新作ソフトの情報を配信した。ゲーム番組の『ファミっ子大集合』は視聴者参加型のスコアバトルを放送して子供心をつかんだ。攻略本や関連書籍も飛ぶように売れて、『スーパーマリオブラザーズ完全攻略本』(徳間書店)は100万部のベストセラーに。メディアも一体となってブームの熱狂を盛り上げていたのだ。

1994年~伝説の終焉~

 そんなファミコンも、後継機であるスーパーファミコンや、PlayStation、セガサターンの登場によって、ついに終焉の時がやってくる。1994年6月24日発売の『高橋名人の冒険島IV』を最後にファミコンのソフトは作られなくなった。

 現時点での国内総販売数は1,935万台、全世界では6,191万台、ソフトは累計5億1万本。

 名作タイトルの紹介と共にゲーム史をまとめた本書はゲームソフト選びのガイドブックとしても楽しく、現代でも「面白そう!」と思わずプレイしてみたいレトロゲームの魅力に溢れている。もう一度、ファミコンの電源を入れたくなった。

文=愛咲優詩