オンナもこっそり濡れる 「官能小説はエンタテインメントだ!」

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2011/11/22

官能小説はエンタテインメントだ!

世の女性たちは官能小説をどんな目で見ているのでしょう。興味はあるけど手に取る勇気はない? 何事も食わず嫌いは禁物。先入観に惑わされる前に、まずはオンナ目線でちらりとその世界を覗き見。後半では官能小説と電子書籍との相性について探ります!
※前半はこちら

そもそも官能小説ってどんなもの?

「人が心の奥に持っている淫心をかきたて、燃え上がらせる。それこそが官能小説の醍醐味です」
過去に読破した官能小説は膨大。官能小説評論の第一人者、永田守弘さんは官能小説をこう定義しています。

つまり、ただ淫らなことをたくさん書けばイコール官能、というわけではない?
「その通り。だから『官能小説なんてどれも同じ』『官能小説家は文章力がない』なんていうのは大間違い。官能を書くには特別の筆力を培う修練が必要だし、誰にでも書けるものではありません。どぎつい言葉を連発するだけならトイレの落書きと一緒。官能小説は読者のイマジネーションを喚起するために、多様な表現や工夫が凝らされたエンタテイメント小説の一ジャンルなんですよ」

官能小説=エンタテイメントの一ジャンル!

そういう見方は目からウロコでした。正直なところ「男の妄想全開エロ小説」という偏見しかなかったもので……。

「もちろん実際はそういう作品も結構ありますよ(笑)。でもその一方で、しっかりしたストーリーの上に情感や人間関係のペーソスが描かれた優れた作品も数多く存在しています。そういう作品でないと、大人の淫心をかきたてられません」

では、実際の官能小説にはどんなカテゴリーがあるのでしょう? 永田さんによると以下のようなジャンル区分があるそうです。

女性向きの官能小説の主なカテゴリー

●恋愛系:求め合う男女がその頂点で行う性交。肉体的に結ばれるプロセスを描くことで情感を高揚させるもの
(例)『下町そだち』草凪優 無双舎文庫など
●癒し系:若い男が年上の女性に性の手ほどきを受けるもの
(例)『はじめての、おねえさま』内藤みか 二見文庫など
●羞恥系:女体をなぶられて淫らな性感に溺れていくものなど
(例)『もっと淫らに』鷹澤フブキ 河出i文庫など
●性愛系:恋愛対象でないはずの相手に性的に惹かれていく
(例)『アトリエの女』小玉二三 二見文庫


官能小説の主なレーベル

ハード系 フランス書院文庫、マドンナメイト文庫
リアルドリーム文庫
ソフト系 双葉文庫、徳間文庫、竹書房ラブロマンス文庫、幻冬舎アウトロー文庫、二見文庫、祥伝社文庫、廣済堂文庫、宝島社文庫、マガジンハウス文庫、コスミック文庫、無双舎悦の森文庫、学研M文庫、大洋文庫、日本出版社(ノベルス版)など

 

全体の約5分の1は女性読者?

さらに、最近では女性読者はもちろんのこと、官能小説家を志す女性の書き手も増えているといいます。サンケイスポーツ主宰で毎年行われている「官能小説・性ノンフィクションの書き方講座」にはここ数年、女性の受講者が急増中。わざわざ地方から受講しに来る人もいるのだとか。

「書く方も読む方も、女性が増えてきているのは確かです。全体の5分の1は女性読者だという説も聞くほど。男が読むものなら、女も当然読むでしょう。むしろどんどん読むべき。女性が読んでも面白い官能小説はたくさんありますから。これから初めて手に取る女性には、カテゴリーでいえば恋愛系が入りやすいでしょうね。逆に勧められないのは絶倫系のもの。これは男性の身勝手な願望そのままですから(笑)」

では次ページからは女性読者にイチオシの作家&作品を具体的に教えてもらいましょう!

永田守弘
ながた・もりひろ●1933年東京都生まれ。40年以上にわたって官能小説の研究・評論を続けているこの分野の第一人者。『ダ・カーポ』創刊からの名物コラム「くらいまっくす」を休刊までの26年間担当。著書に『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫)『官能小説の奥義』(集英社新書)など。
『教養としての官能小説案内』
永田守弘/ちくま新書
多種多様なジャンルが咲き乱れる官能小説の世界は、どのように形成され、成熟していったのか? 戦後の官能小説史を丹念にたどり、各時代の流行や深化する表現技法などを紹介する。官能小説ビギナーでもわかりやすい入門ガイド。
官能小説用語クイズ1
「桃色のチーズ」とは何の比喩でしょう?
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