10歳頃までの“よい子”が抱える危険性 ―親はいかに対処すべきか

出産・子育て

2015/9/21

「好き嫌いを言わない子」「勉強や習い事をとても頑張る子」「クラスの人気者で誰からも好かれている子」…小学校中学年の子どもがこのような“よい子”の場合、親は注意が必要かもしれない、といえば驚くだろうか。

 医学博士であり臨床心理士でもある鍋田恭孝氏の著書『10歳までの子を持つ親が知っておきたいこと』(講談社)によると、思春期になってから不登校、摂食障害、対人恐怖症など心の病や悩みを持つ子どもの多くは、学童期まで前述のような「素直で、おとなしく、親の言うことをよくきく子」であることが多いという。10歳過ぎから始まる思春期になってあらわれる心の問題は長期化しやすいが、基本的な心のありようが固まりつつある段階の4〜10歳頃なら、母親と子どもの関係を中心とした生活環境を変えることで比較的容易に解決する。本書では、とくに10歳頃までの“よい子”を持つ親に、子どものタイプ別に問題点と対応策が示されている。

 たとえば、冒頭の3つのタイプでは、次のようになっている。

(1)好き嫌いを言わない子
 出された食事にとくに喜ぶわけでなく、かといって文句も言わず淡々と食べたり、誕生日プレゼントをもらっても反応が薄かったりする子ども。好き嫌いの感覚が育っていないか、自分の気持ちを表して否定されることを恐れているか、「親は自分の気持ちに関心がない」と思っているか、自分の気持ちよりも「親が何を求めているか」に関心が集中している可能性がある。思春期になると、自分を出せず人間関係で悩み込んでしまうことも。

【対応策】親が機会をみて気持ちを聞くなどして、子どもの気持ちを大切にしようとしていることを感じてもらうようにする。

(2)勉強や習い事をとても頑張る子
 自分から勉強や習い事などをよく頑張る子どもは親にとって自慢だが、「嫌になった」「休みたい」「疲れた」などとまったく言わない場合は、自分の気持ちを殺している可能性がある。つまり、一心に頑張りすぎている。思春期になると、自分の本当の欲求や気持ちに気づけず、混乱してしまうことも。

【対応策】子どものようすや表情を見て、ときには「嫌になることはないの?」と聞いてみる。習い事なら「どうしても嫌なら辞めてもいいのよ」と伝え、気持ちを尊重し、子どもの好みや興味を模索するサポートに努める。

(3)クラスの人気者で誰からも好かれている子
 学童期に「成績がよい」「容姿がすぐれている」「スポーツが得意」「クラスの人気者」など、“特別な立場”にいた子どもは、思春期になってから自己愛の問題を抱えやすい。特別待遇を受けることが当たり前になり、将来的に人間関係がうまくいかなくなる要因になり得る。

【対応策】
叱るべきところは叱る、ルール破りは許さない、いろいろと物を買い与えすぎない、など毅然とする。努力が親を喜ばせようと無理をしている目的なら「大丈夫?」「無理していない?」などと語りかけてみる。結果が出なかったときに「こんな結果なの」「がっかりだわ」などという態度を見せない。

 このように“潜在的な問題を抱えるよい子”のタイプ別に具体的な対処法が挙げられているが、根本的な解決策はズバリ「親が変わること」。子どもを心配しすぎると子どもは不安な気持ちを抱きやすくなり、期待ばかりしていると子どもは萎縮をするか無理をするようになり、指示ばかりしていると子どもは自分から動けなくなるからだ。

 少子化・核家族化が進んでいる今、親の長所も短所も子どもに影響しやすいという。「子どもは親から独立した、さまざまな可能性を持った存在」であることを認め、よい子であっても、自分の理想とするよい子からはかけ離れているとしても、ありのままのわが子を受け入れることで、親子の明るい未来が拓けてきそうだ。

文=ルートつつみ