「もしもタモリがプロ野球選手だったら」―野球大喜利なんてどうですか?

スポーツ

公開日:2015/9/26

 プロ野球のペナントレースも終盤だが、セ・リーグは上位チームが大混戦。一方パ・リーグはソフトバンクの優勝が決まり、リーグ史上最速で決着してしまった。まあCS(クライマックスシリーズ)争いはあるのだが。

 こんな昨今の野球事情であるが、興味のない人には「なんのこっちゃ」という感想ではないだろうか。ならばもうちょっと一般の人でも楽しめるような野球談義を提案してみたいものだが、それにちょうどよさそうなのが『野球大喜利 ザ・グレート ~こんなプロ野球はイヤだ~』(カネシゲタカシ、野球大喜利/徳間書店)だ。

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 「大喜利」とは出題者のお題に対し、面白おかしいひねりを効かせて回答する寄席の演目。それをツイッター上で野球をテーマに始めたのが、作者のカネシゲタカシ氏だ。今ではフォロワー数が2万人を超えるコミュニティとなり、「週刊アサヒ芸能」で連載することにもなった人気コンテンツである。そしてその連載「カネシゲタカシの野球大喜利ベストナイン」は、1回あたり数千本集まる回答の中から著者がボケを厳選し、それを1コマ漫画化してコメントと共に掲載するというスタイル。好評につき書籍化され、その第3弾となるのが本書である。

 やはり1コマ漫画ということで、直感的にネタが分かりやすいのは嬉しいところ。野球をよく知らない人が見ても、結構クスッとできそうなお題が満載だ。

ex1:【お題】もしもタモリがプロ野球選手だったら

回答「このマウンドの傾斜、いいねー。この辺りは江戸時代、三角洲だったんですよね」


 お茶の間で最も知名度が高いであろう人物をお題にした大喜利。いかに野球オンチであろうとも、ネタについていけないということもなく安心だ。ちなみにカネシゲ氏によれば「この野球大喜利の連載に今まで最も多く登場した芸能人は恐らくタモリさんじゃないかと思ってます」ということで、お題に取り上げたのだとか。

ex2:【お題】「カープ女子」、「タカガール」、野球界で次に来るのは…?

回答「(二宮)清純派女子」


 最近のプロ野球ネタで一般的にも浸透していたと思われるのが、広島カープを応援する女の子を言い表した「カープ女子」。ニュースやバラエティ番組にも取り上げられ、認知度はうなぎのぼりだ。それに続けとばかりに「タカガール」や「オリ姫」といった呼称が次々と誕生した。では今後、どのようなムーヴメントが来るのか。そこを切れ味鋭く予想した大喜利がこちら。「清純派女子」という響きと著名なスポーツ評論家をうまく掛けた回答が心憎い。

ex3:【お題】大炎上で投手が降板。「うつむきながら」以外の斬新なベンチへの戻り方

回答「縁もゆかりもないー! 西宮の球団に入ってー! やっとーやっとープロ野球選手になったんです!」


 先発投手がメッタ打ちで大炎上というのは、プロ野球ではよく見る光景。そこへお茶の間でも大きな話題を振りまいた「号泣議員」を掛け合わせると、こんな大喜利に。なぜ阪神タイガースのユニフォームを着ているかといえば、その議員が兵庫県西宮市の選出だったからだ。野球ネタと時事ネタをうまく組み合わせて炎上の悲惨さを訴えている。

 このような感じで、41のお題からなる1コマ漫画の大喜利が心ゆくまで楽しめる本書。もちろん「『キング・オブ・虎の恋人』と噂されるドラフト目玉選手の特徴」などマニアックなネタも充実しており、コアなファンも納得の内容だ。もちろんそういう場合でも、欄外に用語解説が設けてありビギナーのフォローも忘れていない。

 野球人気の低迷が叫ばれて久しいご時世ではあるが、こういうライトなところから一般層の興味を惹いていくのは大事だと思う。実際に「カープ女子」が話題になってから、野球の観客動員数も上がっているのだから。エンタメなんて楽しんだモン勝ち。野球大喜利で大いに笑ったあとは、ぜひペナントレースも楽しんでいただきたい。そう、私も今は楽しんでいる! カープにはワンチャン、まだワンチャンあるのだと信じているから!!

文=木谷誠(Office Ti+)