その“効率的な働き方”本当に長続きしますか? 結果を出せる最高の2時間を作る仕事術

ビジネス

公開日:2015/9/29

 朝会社に着くなりメールをチェックして、やる事リストを整理する。すべて一日で終わるか不安だが、優先順位をつける。1秒も無駄にしなければ、なんとかなるかも…。このように、効率よく時間を使おうと、休む時間を削り頑張ってはいないだろうか。このような働き方は長くは続かない。人間は機械ではないのだ。無理に続ければ、疲労が溜まってダウンしかねない。

 このような日々から脱し、頑張らずに結果を出したいと思うのはビジネスマン共通の願いだ。そこで、『成功する人は、2時間しか働かない 結果を出すための脳と身体のピークのつくり方』(ジョシュ・デイヴィス:著、西川美樹:訳/徳間書店)から、最新の脳科学と心理学を根拠にした成功する働き方を学んだ。本書によると、成功する人は、無駄な時間を省いて働く人ではなく、ベストコンディションな2時間を作れる人だという。

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 ここで言うベストコンディションとは、集中力と思考力、実行力が高まった身体と脳の状態のことだ。では、どうすればこの状態を作り出せるのだろうか? 答えは、“根性や頭だけで仕事をするのをやめて、身体に働きかける”。つまり、身体にアプローチすることで、脳や気持ちをベストな状態にするのだ。といわれたところで、抽象的すぎて難しい。そこで、誰にでもすぐに実行できそうな方法を、具体的にピックアップしてみた。

1、運動
 10分程度の運動で、前頭前野外側部という自己コントロールに関与する脳の領域が活性化する。これを積極的に利用しない手はない。集中力が必要とされる仕事の数時間前に、多少きつめの速度で30分ほど歩いておく。すると、運動しないで仕事をした時に比べ、ぐっと集中度が増す。難しい会議や不安になりそうな場面の前にもお勧めだ。場所の移動が難しいなら、社内の階段を上り下りしたり、足踏みだけでも違いが出るようだ。

2、食事
 ランチに油分たっぷりの揚げ物を食べて、午後眠くなった経験は、誰にでもあるだろう。やはり、昼食に高脂肪、糖分過多は避けるべきだし、満腹になるのもよくない。最も効果的なのは、行う仕事の数分前、数時間後を逆算して、小分けにして食べることだ。

 さらに、予定している仕事の種類に応じて、食べるものも工夫しよう。炭水化物は、摂取から15分後に注意力が向上するが、1時間後には身体全体として見ると生産性が低下する。また、たんぱく質は、摂取後1時間で記憶力が向上する。適量の脂肪においては、実行力が必要な作業を、長い時間継続できる効果がある。

 では、眠気覚ましの飲料として代表格のコーヒーは、有効なのだろうか。実験結果によると、食事といっしょにブラックコーヒーを摂取した場合、30分後に気分が高まり、その約2時間後、反動で疲労を感じるという。しかし、ブラックコーヒーに少量の脂肪、つまりクリームを入れた場合、反動の疲労が襲うことはない。また、眠いからとコーヒーを大量に飲んだとしても、少量を飲んだ場合と効果は変わらないという結果も出ている。もちろん、カフェインに敏感な人や、コーヒーの苦手な人は、無理に飲む必要はまったくない。

3、ぼーっとする
 1日の中で、2時間を最高の状態にしたら、あとは、全力を傾けなくてもできる仕事に当てよう。そして、仕事の区切りには、積極的にぼーっとしなくてはならない。観葉植物や窓の外の景色を眺める、デスクに飾った写真を眺めるといった行動をとるのも良い。とにかく頭を使わずにできることをするのだ。実験では、ぼーっとした後に仕事をしたグループは、そうでないグループよりも生産性が上がるという結果が出ている。

 無駄を省いた頑張りは長続きしない。無意識の内にも、1日の時間に緩急を付けて、長続きするやり方の人の方が、成功する確率が高まるのは確かに納得だ。身体への働きかけを意識することで、そんな成功パターンを真似できたら、気分よく1日が過ごせるかもしれない。自分の体を使って、楽しく試してみて欲しい。また、最高の時間を、何の仕事に当てるのか見極めることも、忘れずに。

文=奥みんす