あのシェイクスピアが『スター・ウォーズ』を書いたらこうなった!? 「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…」と思ったら英国だった?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17

 2015年12月18日、ついに『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開される。『エピソード3/シスの復讐』が公開されたのが2005年。全9部からなる物語であることは本作の生みの親であるジョージ・ルーカス監督がかねてから公言していたこともあり、ファンは続編の制作に期待を寄せていたが、10年越しでようやく、ということになった。

 その原点である作品が、1977年公開の映画『スターウォーズ エピソード4/新たなる希望』(日本公開は1978年)だ。この壮大なサーガがルーカス監督によって書かれたのは約40年前に遡るが、その時計の針をもっと昔の約400年前の西暦1600年前後まで戻し、もしも『スターウォーズ エピソード4/新たなる希望』が、イギリスを代表する劇作家ウィリアム・シェイクスピアの手による作品だったら…というこちらも壮大なコンセプトのもとで紡がれた物語が『もし、シェイクスピアがスター・ウォーズを書いたら まこと新たなる希望なり』(イアン・ドースチャー作、ジョージ・ルーカス&ウィリアム・シェイクスピア:原作、河合祥一郎:訳/講談社)だ。

 物語は惑星タトゥイーンに住む青年ルーク・スカイウォーカーのもとに、反乱同盟軍のドロイドであるC-3POとR2-D2がレイア姫のメッセージを届けるところから始まる。そこからジェダイ騎士であるオビ=ワン・ケノービと出会ってジェダイとなる訓練を受け、ハン・ソロとチューバッカの駆るミレニアム・ファルコン号で宇宙へと飛び出し、ダース・ベイダーや帝国軍との戦いへと身を投じていく…という『新たなる希望』そのままの内容が『まこと新たなる希望なり』として戯曲化されている。古語で書かれた独特のセリフが特徴のシェイクスピアらしい言い回しや、韻を踏んだ文、さらに『ハムレット』『十二夜』『オセロー』といった名作戯曲で使われたセリフや表現が盛り込まれている。

 例えばこんな調子だ。場面はルークが「士官学校へ行きたいと」オーウェン伯父さんにお願いするも「あと1シーズン我慢しろ」と却下され、絶望するところだ。

ルーク ああ、僕は運命に弄ばれる愚か者だ。
    (中略)
    冒険と叛乱の話に僕の血は騒ぎ、
    親友ビッグズがいつもくり返し口にする言葉を
    僕は信じる――すなわち、この世は一つの星なのだ。
    その神々しい光の彼方へ、僕は飛んでゆくのだ!

「ああ、僕は運命に弄ばれる愚か者だ」は『ロミオとジュリエット』第三幕第一場、ロミオがジュリエットの親戚であるティボルトを殺してしまった時のセリフだ。そして「この世は一つの星なのだ」というのは『お気に召すまま』第二幕第七場に出てくる有名なセリフ「この世はすべて舞台」のパロディで、本家『お気に召すまま』(ウィリアム・シェイクスピア:著、小田島雄志:訳/白水社)ではこんなふうに続く。

ジェークイズ この世界はすべてこれ一つの舞台、
       人間は男女を問わずすべてこれ役者にすぎぬ、
       それぞれ舞台に登場してはまた退場していく、
       そしてそのあいだに一人一人がさまざまな役を演じる、
       年齢によって七幕に分かれているのだ。(後略)

 7作目の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で、さらには8作目、9作目ではどんな人物が登場して退場するのか、そしていかなる物語を見せてくれるのか? その展開に期待しながら、過去作復習の副読本として『まこと新たなる希望なり』を是非読んでみて欲しい。

文=成田全(ナリタタモツ)