眺めるだけでアナタも眠くなる! 野良猫の寝姿を集めた写真集『ねころん』

文芸・カルチャー

2015/10/1

猫と暮らす人が、その猫の姿をカメラに収めようとするとき、もっとも手軽で思い通りの写真が撮りやすいのが、寝姿です。グースカピーと眠る姿は、動かない被写体としてカメラ初心者には何度もリトライしやすく、接写も容易でマクロレンズやマクロ機能の真価を発揮できます。どおりでうちのスマホにも、猫の寝姿が多いわけですね。

さて、飼い猫の寝姿写真は、そんな理由で世の中にたくさんありますが、飼い主のいない猫の寝姿を集めたらどうなるのか? それを実行に移した試みが『ねころん』(小森正孝/株式会社KATZ)です。見慣れたはずの猫寝姿も、こうして見ると個性を感じられるとともに、「住む環境が違っても共通する」ものがあるのがわかります。四肢を伸ばしてリラックス、地面に座っておなかを毛づくろい、ヘソと乳首を天に晒して、ひなたぼっこ。ああ、ただ寝転がっているだけなのに、どうしてこうかわいらしいのか。人間だったら即発禁ポーズ満載です。この本を眺めながら秋の夕日を浴びていると、不思議な睡眠導入力を感じられます。

しかし、こうして写真集を眺めていると忘れてしまいがちなのが、飼い猫と比べれば、人間に甘える必要もなければ、媚びを売る必要もないはずの猫たちだということです。必要がない以前に、野外で暮らす猫たちにとって、安心してヘソ天できる時間は貴重な時間。この写真集ができあがるまでに、どれだけのシャッターが切られたかを思うと、その積み重ねがあってこその一冊だとわかります。

Masataka Komori・KATZ
 そんな環境であっても、これだけ無防備に腹をさらけ出し、大きなアクビをキメて、目を細めてポーッとした表情を浮かべているのが猫なのであります。野生を忘れたのではなく、そもそもそういう素質、つまり人間から「かわいい」と思われる能力を持ったがために生き残ったのが、イエネコだと考えるのも『ねころん』を眺めていると納得できるように思えます。

Masataka Komori・KATZ
 人里に暮らす飼い主のいない猫たちが見せる、このゆるい寝姿と表情は、その地域の人々にどのように扱われているかも映し出しているようにも見えます。そこから察すると、飼い猫の寝姿写真は、その飼い主との関係性を映し出しているとも考えることができます。スマホのなかに保存された愛猫の寝姿と『ねころん』に載っている猫の寝姿と、交互に比べて見てみれば、飼い猫が飼い主をどう思っているのかを捉えるヒントになるかもしれません。

Masataka Komori・KATZ

Masataka Komori・KATZ

Masataka Komori・KATZ
文=猫ジャーナル