ウソ? ホント? 知っておきたいウンチク6選 ―サンドイッチを発明したのはサンドイッチ伯爵ではなかった!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17


『雑学うんちく図鑑』(ケン・サイトー/KADOKAWA中経出版)
『雑学うんちく図鑑』(ケン・サイトー/KADOKAWA中経出版)

 雑学を人に話すことを「うんちくをたれる」、「うんちくを語る」といいます。

 しかし、『雑学うんちく図鑑』(ケン・サイトー/KADOKAWA中経出版)によると、本来の使い方は「うんちくを傾ける」が正解なのだそうです。学識や知能を精一杯発揮するという言葉で、「薀蓄(蘊蓄)」という漢字は「ためる」、「ためこむ」という意味があるのだとか。

 本書は、そんな言葉の語源から、「ビール瓶はなぜ633mlなのか?」、「ボウリングのピンは、昔は10本じゃなかった」、「へちまはどうしてへちまと呼ぶの?」など、私たちの身近なものにまつわる古今東西のうんちく雑学を集めたイラストつきの図鑑です。読めば思わず人に話したくなる、知って得するムダ知識があふれています。

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●ビール瓶はなぜ633mlなのか?
 ビールの大瓶の内容量は「633ml」です。なぜこんな中途半端な数字になっているのか、疑問に思った方もいるのではないでしょうか。それは日本が酒税法を導入した1940年の話です。当時のビールメーカー各社の大瓶の容量はバラバラでした。各社の大瓶を比べると最大が643ml、最小が633mlでした。最小容量に合わせれば今までの瓶もすべて使えるということで、これが統一規格になったそうです。ビールの小瓶も同じ理由で334mlとなっているのだとか。飲み会の席で使えそうなトリビアです。

●ボウリングのピンは、昔は10本じゃなかった
「ボウリング」のルールを統一したのはドイツの神学者マルティン・ルター。もともとは宗教行事として、悪魔に見立てたピンを倒すことで災いを避ける儀式だったそうです。「ナインピンズ」と呼ばれ、9本のピンをひし形に並べていました。1826年頃にオランダ移民によってアメリカに伝わると、次第にギャンブルの対象になります。見かねたアメリカ政府は1865年に「ナインピンズ禁止法」を施行しました。しかし、「9本がダメなら10本ならいいだろう」と、法をすり抜ける形で10本ピンの「ボウリング」になったとか。

●「凧上げ」はどうして「タコ」なのか?
「ボウリング」と同じような事例は日本にもありました。お正月に遊ばれる「凧上げ」です。そもそも何故「タコ」なのでしょうか。中国から伝来した当初は「紙鳶」といって鳥の形をしていました。これを改良し、関西ではイカの形のものを飛ばしていたので「イカのぼり」といいました。これが江戸で大流行し、大名屋敷の敷地内への墜落事故が多発したため、1655年に幕府は「イカのぼり禁止令」を出します。それでも江戸っ子たちは「これはイカではなくタコです」と言い張って遊び続け、「タコ」が定着したのだそうです。

●「へちま」はどうして「へちま」と呼ぶの?
 江戸っ子の遊び心があふれている雑学は他にもあります。「へちま」は果実から繊維が取れることから漢字で「糸瓜」と書きます。もともとは「いとうり」と呼んでいたものが、次第に訛って「とうり」に変化します。この「と」が、いろは歌(いろはにほへと ちりぬるを)で「へ」と「ち」の間にあることから、江戸っ子たちがシャレて「へちま」と呼ぶようになったといいます。

 また本書では、いまでは世間の常識として広まっているうんちく雑学についても、実は真実ではない「ガセ」が混じっていると、いくつか紹介しています。

●サンドイッチ伯爵は「サンドイッチ」を発明していない
「サンドイッチはサンドイッチ伯爵がトランプをしながら片手で食事できるように発明した」と言われていますが、これは間違い。サンドイッチ伯爵こと、サンドイッチ村の領主ジョン・モンタギュー伯爵が生まれる前から、パンに肉や野菜を挟んだ食べ物は「bread and meet」などの名前で存在したという。サンドイッチ伯爵が発明者という誤解は、ピエール=ジャン・グロレスの『ロンドン(Londres)』という本のなかで「発明した大臣」として書かれたのがきっかけで広まったのだといわれています。

●沢庵和尚は「たくあん」を考案していない
「漬物のたくあんは、東海寺(東京都品川区)の沢庵和尚が考えた」というのもガセ。それ以前から「貯え漬」というものがあり、この呼び名が変化したのだという。一説には、東海寺を訪れた徳川家光が、沢庵和尚からふるまわれた漬物に感動し「これはおいしい、貯え漬というより、たくあん漬けと呼ぶようにしよう!」と言ったとか、沢庵和尚のお墓が漬物石に似ているから噂が広まったという説もあるのだとか。

 本書では、このようなうんちく雑学が全200項目収録され、どれも「そうだったのか!」と思わず納得する感動や、新しい知識を得る快感が味わえます。普段、当たり前と気にしていなかったものでも、いわれてみると知らない疑問や意外な事実が隠れていて、こんな面白い不思議のなかで私たちは暮らしていたのかと気づかされます。雑学を知れば毎日の生活がちょっと楽しくなるかもしれません。

文=愛咲優詩