榮倉奈々が泣いた、小泉今日子のエッセイ集

芸能

更新日:2011/11/18

  本年度モントリオール世界映画祭イノベーションアワードを受賞した映画『アントキノイノチ』(11月19日より公開 配給/松竹)をはじめ、ドラマ、CMなどで幅広く活躍する榮倉奈々さん。

 彼女がお気に入りの一冊として選んだのは、小泉今日子の『小雨日記』(角川マガジンズ)。飼い猫・小雨の目を通して“キョーコさん”の日常を綴られているエッセイ集である。

「小泉さんとはプライベートで何回かお会いしたことがあるんです。以前からお話ししたいと思ってはいたものの、初めて会った時は自分のことを一から全部言うわけにはいかないじゃないですか。私もポイントしか話せなかったのに、すごく核心を突く言葉をくださって。しかも答えそのものをズバッと言うわけでもなく、他の人がその言葉を聞いても説明しないと深い意味はわからないくらいのさりげない言い方で。お会いするたびにそういうことがあって、人として素敵だなあって。この本も言葉がいいんですよ。読むととっても穏やかな気持ちになれるんです」

 本作には、時には本気で“ゴウキュウ”するなど、キョーコさんの素顔が描かれる。小雨は、言う。
「女ですもの、そりゃ悲しい時もありますわよ」と。 榮倉さんはどうですか?

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「そうですね。そりゃ、ありますわよ、ですね(笑)。この本を読んだ時も泣きました。小雨とキョーコさんの絆を感じて」

 映画『アントキノイノチ』で、榮倉さんは遺品整理会社で働くゆきを演じた。杏平(岡田将生)とともに、それぞれに心に傷を抱えた二人は、仕事を通じて生きる希望を取り戻していく。その役作りのため、実際の遺品整理の現場にも足を運んだ。

 「私と岡田君が行ったのは入院中に病気で亡くなった男性の部屋でした。遺品整理と言っても、最初はお引っ越しみたいな仕事なのかなあと思っていたんですが、日付入りの古い領収証とか返信していない同窓会のお知らせとかプライベートなものも片付けなくてはいけなくて。そうすると顔も知らない人なのに感情移入しちゃうんです。でも実際のスタッフの方たちは淡々とやっていて、仕事として割り切ることが、ご本人への供養や愛情に繋がっているんだなと感じました」

 映像からは<死>がきれいごとではないことが、生活の痕跡として生々しく伝わってくる。榮倉さんは、そこに瀬々監督の哲学を感じるという。

 「杏平とゆきが心を通わせる重要なシーンを撮影する直前に、3・11の震災があって、この時、瀬々監督は自分の人生観を話してくださいました。岡田くんは少年!って感じで、悩む時は全力で悩む、悩んでいることを悩まない方だなと」

 映画で、榮倉さんが好きなシーンは?

「二人で夜、バスに乗ってるシーンが好きなんです。同じ空を見てても気分によって見えるものは違うけど、きっと今は幸せな空だよねって」

(ダ・ヴィンチ12月号 STUDIO INTERVIEWより)