美人じゃないのになぜかモテる! 少女マンガキャラ5選

マンガ

公開日:2015/10/10

 少女マンガを読んでいて、「なんでこの主人公が、こんなにモテるんだよ!」と、ツッコミを入れたことはないだろうか。筆者はある。マンガなんだから仕方ないとわかってはいるけど、羨ましいんだもん…。しかし、冷静になってある仮説を立ててみた。彼女たちがなぜモテるのかを分析すれば、もしかしてガチで使えるモテテクがわかるのではないか? それはぜひとも知りたい! というわけで今回は、特段可愛くない(という設定)けど、なぜかモテまくる5人のマンガキャラを紹介しよう。選抜してくれたのは、少女漫画研究家の小田真琴さん。彼女たちがなぜモテるのかについても分析していただいた。

「ヘンな人」仁菜子

ストロボ・エッジ』(咲坂伊緒/集英社)

(あらすじ)主人公の木下仁菜子が恋したのは、学年一のモテ男、一ノ瀬蓮。距離が近づいていく2人だったが、蓮には中学校時代から付き合っている彼女がいて…。

「主人公・仁菜子は度々“ヘンな人”呼ばわりされます。しかし、ここで肝心なのは、“その集団においてややヘンである”という平均値からの適度な距離感。変になりすぎると大多数の恋愛対象からは圏外になりますので、断然モテなくなりますが、仁菜子は適度な距離感を本能的にわかっているので、モテるんです」(小田さん)

 ほかの子とはちょっと違う雰囲気を持つ子がモテるのは、現実世界にもよくあることなので納得。ただ、ヘンすぎるとモテなくなるのも、大いに納得。さじ加減が重要だ。

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「平等主義者」サラ

関根くんの恋』(河内遥/太田出版)

(あらすじ)エリートサラリーマンの関根は、無味乾燥な毎日に嫌気がさしていた。そんな毎日を変えようと、手芸店の孫娘・如月サラに弟子入りをする。

「本作において、関根くんは絶世のイケメンとして描かれており、通り過ぎる女性みんなが振り向いてポーッとなってしまいます。しかし、サラだけは関根くんを特別扱いしないのです。みんなと同じように平等に接するので、関根くんもサラには心を開くようになります。しかし、なんともいじましいのは、サラが密かに関根くんにドキドキしているところ。やがて2人の男がサラを奪い合うようになる展開は、モテにほかなりません」(小田さん)

 誰に対しても平等に接するのって簡単なようで難しい。それを、難なくやってしまう孫だからこそ、モテるというわけだ。

「ノー裏表」木絵

高台家の人々』(森本梢子/集英社)

(あらすじ)イケメンエリート会社員の高台光正は、人の心が読める超能力を持っている。同じ会社に勤めるOL・平野木絵の妄想と人柄が気に入り、2人は付き合うことに…。

「森本先生が描く女の子は“普通”を通り越して積極的にヘンであり、そしてめっぽう面白い。しかし、その一方で、純粋さと心の清らかさも持ち合わせています。人の心が読めてしまうテレパスだからこそ、光正は木絵の裏表ない美しい心に気づき、そしてその妙な妄想癖との合わせ技で、すとんと恋に落ちたのでした。あれこれ計算するよりも、自分をわかってくれるオンリーワンの男性に『モテる』というパターンです」(小田さん)

 木絵の妄想は、どれも平和。人に悪意を持った妄想は絶対にしない。そして何より、光正がテレパスだけど、知らないふりをして接するという心の優しさもポイントが高いのだろう。

「近眼」月海

海月姫』(東村アキコ/講談社)

(あらすじ)クラゲオタクの倉下月海が出会ったのは、女装が趣味の男、鯉淵蔵之介。蔵之介は、オシャレとは無縁の月海を美しく変身させることに没頭し始める。

「月海のメガネはアイテムとして非常に優秀です。メガネを外すと近眼ゆえに隙が生まれ、言動がいつもの3割増しで可愛くなります。そりゃモテないわけがありません。逆に考えれば、メガネなしで単なる近眼の人に隙は生まれませんし、変身の妙味もありません。敢えてメガネをかける。そしてはずす。モテてしまうかもしれません」(小田さん)

 「メガネを外したら美形」という古典的なギャップは、もう古い。メガネを外したら、あたふたする。月海のモテテクを学ばない手はない。

「ひたむきモンスター」マヤ

ガラスの仮面』(美内すずえ/白泉社)

(あらすじ)女優として天賦の才能を持つ北島マヤと、生まれながらにして演劇界の天才と謳われてきた姫川亜弓。2人の女優が幻の舞台『紅天女』の主役の座を賭けて、火花を散らす演劇漫画。

「作中において、マヤはなんの取り柄もない地味な女の子という扱いにも関わらず、なぜかモテるモテる。たとえば『嵐が丘』で共演した真島くんは、マヤの過度なひたむきさに心打たれ、“もしかしたら俺のこと好きなのかも!?”とさえ思ったことでしょう。マヤの演劇へのひたむきさは、そのエネルギーが膨大であるがゆえに、各方面にさまざまな影響を及ぼしてしまうのです。観る者すべてになんらかの感情を喚起させてしまう、それが男子においては恋心である可能性が高い…ということではないでしょうか。『度を超したひたむきさ』はモテるという例です。モテのバイブルとして、今こそ『ガラスの仮面』を再読すべきかもしれません」(小田さん)

 大企業の御曹司である速水真澄を始め、若手人気俳優の桜小路優ら、みんなマヤにメロメロ。ただ、問題は、ひたむきに頑張っているのを誰にも気付かれないという可能性も…。

 ここで紹介した5人のキャラクターがなぜモテるか、おわかりいただけただろうか。彼女たちは、内面の輝きによって、男たちを引き寄せているのである。惜しくも美女枠から漏れてしまったと感じている人がいたら、彼女たちのモテテクを現実で活かしてみるのはどうだろうか。効果があったという人、ご報告お待ちしてます。

文=中村未来(清談社)