起源や色の意味、いたずらの夜…意外と知らないハロウィンの基礎知識

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/18

『マイ・ヴィンテージ・ハロウィン』(マリオン・ポール:著、西本かおる:訳/グラフィック社)
『マイ・ヴィンテージ・ハロウィン』(マリオン・ポール:著、西本かおる:訳/グラフィック社)

 10月末のイベント「ハロウィン」は、今や日本でもすっかり定着した。この時期になるとあちこちにハロウィングッズが出回り、仮装大会やパレードが催される。クリスマスやお正月ほどではないにせよ、毎年楽しみにしている人も多いだろう。
 しかし、ハロウィンについてどれだけ知っているか、と問われると、意外と知らないことに気付く。そこでハロウィン前にぜひとも読んでほしいのが、『マイ・ヴィンテージ・ハロウィン』(マリオン・ポール:著、西本かおる:訳/グラフィック社)。しっかりとした作りでページの縁がオレンジに統一してあり、ジャック・オー・ランタンのしおりが黒いリボンでぶら下がっているという、凝ったデザインのこの本。もちろん中身も充実しており、ここでは紹介しきれないくらいのハロウィン情報が詰まっている。今回は、この中からいくつかピックアップしてご紹介しよう。

ハロウィンの起源・歴史

 ハロウィンの起源とされているのは、2000年以上前の古代ケルトのお祭り「サムハイン祭」。ケルト民族は、季節ごとに死と再生を繰り返すと考えていて、季節の節目には神々の怒りを鎮める儀式やお祭りが行われていたそうだ。その中の「サムハイン祭(死者の祭り)」が現在の暦で11月1日で、前夜、つまり10月31日の夜から始まったようなのだ。
その後、ケルト民族は異教徒扱いされるようになり、改宗を迫られたが、この祭りが消えることはなかった。9世紀になると、地域によってばらばらに行われていた初期キリスト教の行事「ハロウマス」が11月1日に統一された。これは異教のサムハイン祭の代わりにするためだったとも言われているが、真偽は定かでないそうだ。

「いたずらの夜」ハロウィンの、想像を絶するいたずら

 ハロウィン当日の夜、もしくは前夜を指す「いたずらの夜」 。アメリカやカナダでは、このいたずらの夜に壮絶ないたずらがあちこちで繰り広げられた。ハロウィンが浸透したとはいえ、日本でやれば間違いなく器物破損の域、というようないたずらも当たり前のように起こっていたようだ。例えば、窓に石鹸を塗りつけたり、ドアにチョークで落書きをしたり……。これだけでも十分犯罪級だが、荷車を高さ24メートルの給水塔に運び上げるなど、下手すればいたずらした本人も危ないようなものもあったのだとか。ハロウィンによく行われるパレードやフェスティバルは、これらの過激ないたずらを阻止することが目的で始まったそうだ。

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ハロウィンの色が表すもの

 ハロウィンといえば、オレンジや黒、紫などの印象的な色も特徴の1つ。本書によると、この色には意味があり、
「黒」……夜、冬の暗い日々、死、魔女、黒猫、コウモリ、クモ
「オレンジ」……木の葉、収穫、カボチャ、ジャック・オー・ランタン、火明かり
「紫」……超自然的なもの、魔法、影
「緑」……魔女、小鬼、怪物
「赤」……血、危険
「白」……幽霊、悪鬼、骸骨
を意味しているとのこと。何となく“ハロウィンっぽい”という理由でこれらの色のものを手に取るのもいいが、意味を知っているとよりドキドキワクワクできそうだ。

【作ってみた】カボチャの形のトリック・オア・トリート用バッグ

 本書には、ハロウィンに役立つアイテムの作り方もたくさん掲載されている。その中から、「カボチャの形のトリック・オア・トリート用バッグ」を作ってみた。


 高校を卒業して以来、裁縫なんてほぼしていなかった筆者だが、型紙もついているので3~4時間程度で簡単に作ることができた。ミシンがあれば、よりお手軽に作ることができる。こんなに可愛いバッグなら、ハロウィンが終わったあとも、小物入れとして活用できそうだ。

 本書には、他にもたくさんのハロウィンの秘密が掲載されており、読めば読むほど、ハロウィンがいかに世界各国で愛されてきたかが伝わってくる。

 子供のころはもっと身近にあった、魔法やおばけ。年に一度のハロウィンくらい、現実的な日々を忘れて、そんなファンタジーな世界に浸かってみるのもいいかもしれない。

文=月乃雫