「できる子」とは、親の思った通りに「できる子」ではない

出産・子育て

公開日:2015/10/20

 「できる子」というと、どういった子どもを思い浮かべますか?勉強ができる子、きちんと行動できる子、スポーツができる子……。あなたは、自分の子どもをどんな「できる子」に育てたいですか?

 『モンテッソーリ流「自分でできる子」の育て方』の著者、神成美輝氏は、「自分でできる子」に育てることをすすめています。

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子どもの「?」な行動

私達も子どもの頃は「あの道は通りたくない」と駄々をこねたり、「絶対スカートしかはかない」と泣いたり、何かしらの譲れない理由をもとに行動していたのではないでしょうか。しかし、今となってはなんであの時、あんな風に考えていたのか思い出せません。

そして今、実際に自分の子どもが「イヤイヤ」をし続けたりすると(子どもの頃の自分がされて嫌だったのに)、「なんでなの?」「わがまま言わないの!」と声を荒げて、自己嫌悪に陥ってしまったり。

そんな子どもの「わけの分からない行動」の裏には、子どもなりの理由があると示したのが「モンテッソーリ教育」です。

モンテッソーリ教育とは?

あまり日本では知られていないモンテッソーリ教育とは、1870年にイタリアで生まれたマリア・モンテッソーリが確立した教育方法です。

彼女は女性で初めてローマ大学の医学部に入学し、卒業したのち、精神病院で知的障がいを持つ幼児の治療教育にたずさわりました。その時、知的機能に障がいをもっているといわれている子ども達が、小さなパン屑を一生懸命集めている姿を見て、そこに知性的な活動があることに気づきました。そして、子どもの世界には、大人とは違った感覚、学びがある、子どもは大人とはまったく違う世界を生きているということを発見し、子どもの教育に生かすようになりました。

彼女によれば、子どもが、同じことを何度も繰り返したり、大人から見ると「なんで?」と思うような振る舞いをするのは、すべての子どもが持つ「自己教育力」によって、子ども自身が能力を伸ばそうとするゆえの行動なのだそうです。

ですから、大人は環境を整え、見守ってあげるサポート役に徹した方が良いのです。
主役や親ではなく、子どもなのです。

ここでは、そのモンテッソーリ教育がすすめる子どもとの関わり方の中から、今すぐにでもできる3つの方法を見ていきましょう。

1、大人の動きは超高速!
子どもにとって、大人の動きは早すぎて早送りのDVDを見ているようなものだそうです。また、手と耳を同時に働かせることは難しく、口で説明をしながら何かを教えることは、混乱させるだけになってしまいます。

著者は、新しい動作を伝える時には

1.子どもが分かるように、ゆっくり見せる
2.見せる時と聞かせる時を区別する、言葉での説明を同時にしない

ということを意識するよう述べています。

例えば、服のたたみ方教える時に「こうやってたたむのよ」とたたみながら言うだけでは、子どもはどうすればいいのか分かりません。また、だからといって「このはしっこをもって、半分まできたら止まって、折り返すのも忘れないでね」などと、詳しすぎる説明も困りものです。

大人でも、早口で次々と先を説明されると混乱してしまいますよね。子どもにとって、大人の普通の動きが、とても早く感じるということを忘れないで、意識して伝えるようにしましょう。

2、察するのをやめる
親は子どもが生まれた瞬間から、「お腹が空いた? 眠い? 寒くない?」と、子どもの気持ちを察し、不都合のないよう先回りして動きます。それは大きくなって、子どもが気持ちを言葉にすることができるようになっても続きがちです。
例えば、外遊びから帰ってきた子どもがおやつが欲しいなぁと目でうったえると、何も言わずともおやつをだしてあげる、というようなママは多いのではないでしょうか?

周りが察し続けるとどうなるか……子どもの自分で考え、意思を言葉で伝える経験が妨げられることとなってしまいます。察するということは日本人にとって美徳ですが、子どもの成長を考えると必ずしもそうとは言えないかもしれません。

3、オーバーにほめない

子どもが今までできなかったことを、「できた!」となるのは、とても喜ばしいですよね。親はその瞬間だけを見て「すごい!すごい!」と、ついオーバーにほめてしまいますが、実は子どもは「あぁ、やっとできた」「あんなに練習したから、そんなにすごくないんだけどな」と思っているかも。

子どもにとって本当に嬉しいのは、親に認めてもらうことです。

子どもが努力した過程をきちんと知ったうえで、「そうだね。できたね!」「よかったねー」と「共感」することが、子どもと同じ目線に立っているといえます。
また、できたらご褒美という方法も、ご褒美がないと頑張れない子どもになってしまうので注意です。

以上、モンテッソーリ流子育てによるの「できる子」に育てるための方法を、ほんの少しですがご紹介しました。けっして、難しいことではありません。子どもと大人の違いを知って、親の考えを押し付けるのではなくサポート役に徹することがとても大切なのですね。

文=日本実業出版社