芸能界のグルメ王アンジャッシュ渡部が選ぶ中毒性のある1皿とは

食・料理

2015/10/16


「あ、あれ食べたい」という欲求が脳に宿り、それで頭がいっぱいになって何も手がつかなくなる……ということは誰にでもあるが、それがあまりに頻繁に起きる人が手に取るにはちょっと危険なガイドブックが発売された。アンジャッシュ渡部建さんのグルメ本第2弾、『芸能界のグルメ王が世界に薦める! 東京 最強の100皿』(文藝春秋)だ。

 年間約500軒を食べ歩く渡部さんに、「この1皿を食べるために、またこの店に来なくては!」と思わせるメニュー100品を、「1000円以下」「2000円以下」「2000円以上」「コースの一品」「テイクアウト」にカテゴライズして紹介する。会社帰りの1杯から特別な日のディナー、大事な人への手土産まで、おいしいのはいうまでもないが、とにかく“使える”料理の数々。どれもこれも、中毒性のありそうなメニューばかりというところに、渡部さんの情熱が感じられる。

 発売を記念して今月10日に開かれた記者会見で、渡部さんの食に対するアツい想いをナマで聞いてきた。


渡部建さん(以下、渡)「昨年、僕にとって初めてのグルメ本となる『芸能界のアテンド王が教える 最強の店77軒』(文藝春秋)を発売しましたが、その編集作業中から“あのお店を載せたかった”“いやいや、こっちこそ載せるべきだろう”と何度も逡巡して、担当編集者さんのこともずいぶん困らせました。だから今回は、そこで載せられなかったお店も含めて全100軒、新規で紹介しています」

 なかには、いわゆる〈赤ちょうちん〉的なお店も含まれる。

「『最強の店77軒』では、東京でも西側エリアにあるお店が多かったのですが、今回は東京全体、なかでも下町エリアにも、おいしいお店がたくさんあるんだぞってことを知っていただきたかったですね。安くておいしい、って最強じゃないですか!」

「象徴的なのは、立会川にある『お山の大将』というお店。マヨネーズで和えたキャベツのうえに目玉焼きをのせ、胡椒と魚粉だけで味付けをするというシンプルな料理なのですが、これ、卵が1個でも3個でも10個でも値段が変わらなくて、一律550円。クレイジーですよねぇ。きっと、お店のオヤッさんが小さいころ貧しくて卵を食べられなかったとか、そんな想いが込められているに違いない……と思って、一度その理由を訊いたんですよ。そしたら、“めんどくせぇからだよ!”って返ってきました。そして僕はそんなオヤッさんのめんどくさがりに乗じて、毎回、卵10個で目玉焼きを作ってもらうわけです」



●お山の大将
東京都品川区南大井1-6-8
03-3764-4197

 しかし、〈世界の渡部〉がそんなに食べ歩いていて目立たないのだろうか?

「そんなことないですよ、ひとりでお店に行くのもまったく平気です。ブログで“わたべ歩き”と称してお店を紹介するようになったのが2007年ごろですが、そのころからようやく自分のお金で食べ歩けるようになったんですよ。人に紹介できるようになると、今度はグルメ系の仕事も増えてきました。“これはいい加減なことをいえなくなってきたな”と気を引き締めつつ、年間500軒ぐらいを食べ歩くようになったのは、ここ2、3年のことですね」

 一方、数々の女性タレントと浮き名を流す……いえいえ、女性のアテンドも上手なことで知られる渡部さん。本を通して知的好奇心を刺激する「ダ・ヴィンチニュース」の女性読者におすすめのメニューをうかがった。

「つまり本好きな文学女子へのおすすめメニューですよね。うーん、たとえば本を片手に持ってもう片方の手でパパッと食事できちゃうとか?」

 はい。たとえば、古書店街・神保町にカレーライスを出すお店が多いのは、本を読みながらスプーンひとつで食事できるから、といわれていますね。その方向でのオススメお願いします!

「だったら、浅草『千葉屋』の“大学いも”は、いかがでしょう。冷めてもおいしくて、片手で食べられる……けど、ベタベタになっちゃうかな。まあそこは、こっちの手で食べるって決めてもらえれば大丈夫ですかね」



●千葉屋
東京都台東区浅草3-9-10
03-3872-2302

「それから、渋谷『TOKYO KENKYO』の“古白鶏の南蛮サンド”。鶏南蛮をサンドイッチにするって、ほかではちょっとないので新鮮ですよ。しかもタルタルソースがたっぷりで、満足感もひとしお! これは女性、好きなんじゃないかなぁ」

 と、食のことについて語るととまらない渡部さん。同書では、世界の渡部らしく、「日本の美味を外国人にも食べてほしい」という思いから、英語データも併記されている。2020年オリンピックに向けて、食を愛するエンターテイナーが全力でおもてなしする東京グルメ本、長く愛される1冊となりそうだ。

取材・文=三浦ゆえ