100日で100刷のあの本も! ゲーム攻略本1000冊以上を収録 史上初の「ゲーム攻略本の研究書」が人気

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2015/10/21

『ファミコン攻略本ミュージアム1000 (GAMESIDE BOOKS)』(松原圭吾、ほか/マイクロマガジン社)
『ファミコン攻略本ミュージアム1000 (GAMESIDE BOOKS)』(松原圭吾、ほか/マイクロマガジン社)

 スーパーマリオブラザーズ生誕30周年に合わせて発売された「Wii U スーパーマリオメーカー」がヒットを飛ばしている。任天堂の“マリオ”を親子で楽しむ家庭も多いだろう。

 1983年に発売された任天堂による国民的ゲーム機「ファミリーコンピュータ」こと「ファミコン」は、1984年の「ゼビウス」、そして1985年の「スーパーマリオブラザーズ」ほかヒット作を連発し、日本中にゲームっ子を生み出した。ファミコンは、子ども向けのゲーム機だ。にもかかわらず、大人でも最後まで攻略できるかどうかという高難度のソフトが当たり前のように店頭に並んでいた。インターネットがない時代にあって、スーパープレイを見せてくれたり、誰もが悩むようなノーヒントのナゾを解いたり、隠しステージや裏ワザ、バグなどを教えてくれたりする小学生は一躍クラスのヒーローに。かたや書店ではゲームの攻略本が人気を呼んだ。

 ゲームっ子の家には攻略本が1冊はあるというほどの「ゲーム攻略本ブーム」が日本を席巻した。しかし、ゲームソフトやハードのカタログは数あれど、今日までゲーム攻略本のカタログはなかった。このほど発売された『ファミコン攻略本ミュージアム1000』(マイクロマガジン社)は、往年のゲームっ子が待ちに待った「ゲーム攻略本の研究書」である。

 本書に掲載された攻略本は、じつに1032冊。表紙と内容が出版社別やシリーズ別、かつ発行日順に紹介されている。古い攻略本はゲームソフトよりも入手困難となった今、まとめて閲覧できる本書は、文化的にも貴重な一冊。大人は「この攻略本、持っていた」「読んだことがある」という懐かしい気持ちに、子どもは「こんなゲームがあったのか」「むかしのゲームもおもしろそうだな」という気持ちになること、うけあいだ。

 本書では、同じソフトを扱った攻略本でも出版社別で比較ができて楽しい。例えば「スーパーマリオブラザーズ」。徳間書店から出版された『スーパーマリオブラザーズ 完全攻略本』では「ステージ8-4」まですべてのイラストマップが掲載されており、二見書房の『スーパーマリオブラザーズ 裏ワザ大全集別巻』では解説に「ぐわっ!」「わあ!」といった筆者の心の叫びが織り交ぜられたフランクな文体で綴られている、といったように特長に差が見てとれる。ちなみに、『スーパーマリオブラザーズ 完全攻略本』は毎日絶え間なく印刷しても追いつかないくらい売れ続け、はや発行100日で100刷となったモンスター本として伝説を残している。

 出版社ごとに個性があるのも興味深い。例えば、集英社の初期攻略本は『週刊少年ジャンプ』誌上でスタートしたゲーム情報コーナー「ファミコン神拳」のスタッフにより編集されており、参加ライターは「ドラクエ2」の「もょもと」の復活の呪文で有名な「ゆう帝(堀井雄二)」「みや王(宮岡寛)」「キム皇(木村初)」というそうそうたるメンバー。歯に衣着せぬ文章が人気を集めた。歴史シミュレーションゲームの光栄は、さすが歴史に精通しているスタッフが多いと見られ、歴史を学ぶ読み物としてもおもしろいという。『信長の野望 全・国・版 ガイドブック』では単なるコマンド説明も信長がしていたり、『三国志 ガイドブック』では英雄たちが彼ららしい口調で戦術を説明していたりと、マニアにはたまらない趣向が凝らされている。ファミコン専門誌『マル勝ファミコン』の角川書店から出版された攻略本は、コミカルな文体と脱力系イラストで独特のゆるいノリが生み出されている。「ドラゴンバスター」攻略本発行の5日後には小説版が出版されるというメディアミックスが当時からなされているのも同社らしさだと分析している。学習研究社(学研)や、参考書で有名な旺文社の攻略本も、教育系出版社が発行しているとは思えないような(褒め言葉)、ゲームっ子の心を捉えて離さない魅力的なイラストやキャッチコピーが表紙で躍る。

 本書の編著者・松原圭吾氏は、25年にわたる収集活動でゲーム関連出版物を1万4000点以上も所蔵する“攻略本研究家”であり、この本は「ゲーム攻略本の研究書」として完璧なくらい最善を尽くしたというが、まだ存在を把握していなかったり、掲載できていなかったりする攻略本があるかもしれない、と告白している。これはもしかしたら、さらなる完全版の出版に向けた“フラグ”なのかもしれない。

文=ルートつつみ