漫画家・井上雄彦が“お師匠さん”と呼んだ、江戸時代の修行僧“円空”とは?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17


 全国を行脚しながら12万体もの仏像を彫ったとされる、江戸時代の修行僧“円空(えんくう)”。現存する資料は少なく、どんな人物だったのか、なぜ仏像を彫り続けたのか、作品はどのように変化していったのか、その生涯は謎が多い。

 そんな円空の足跡を辿る旅に、漫画家・井上雄彦が出発した。2015年10月24日(土)に発売された『円空を旅する』では、井上が北海道、青森、岐阜、愛知、滋賀、三重を訪れ、各地の円空仏を見て回る。旅したのは、円空仏を安置するお寺をはじめ、地元の人の管理によって守られているお堂、円空が修行し仏像を彫ったとされる山岳霊場など。土地により作風の異なる円空仏を見て、旅で出会う人たちと交流するなかで、井上は次第に円空の姿に共鳴していった。



 井上がこの旅に出たきっかけは、『美術手帖』2013年2月号の“円空”特集。以前から円空の仏像に関心を抱いていた井上は、雑誌の取材の話に縁を感じて、“円空仏”とはじめて対面。以来、全国に5,000体現存するという円空仏をもっと見たいと考えるようになったという。

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 円空仏について井上は「こちらとあちらを隔てる壁がない」と語る。崇められるのではなく、いまでも人々の暮らしのすぐそばで大切にされる円空仏。井上はそこに何を感じとったのか?

 同書には、円空をはじめて知る人のための基礎知識、実際にスポットを訪ねたい人のためのアクセス情報も満載。井上を通して、修行僧であり、彫刻家であり、ひとりの人間である円空の存在に出会い、なぜ人は円空の仏像に惹かれるのかを発見できることだろう。



<目次>
第1章「はじめまして、円空さん」岐阜の旅 井上雄彦の取材後記「円空仏」 旅のスケッチ
第2章「現役で慕われる円空仏に泣く」青森・北海道の旅 ゲスト=山下裕二(美術史家)井上雄彦の取材後記「円空仏取材で目から水が出た」 旅のスケッチ
第3章「師匠と呼ばせてください!」岐阜・愛知・滋賀・三重の旅 前編 旅のスケッチ
第4章「同じつくり手として」岐阜・愛知・滋賀・三重の旅 後編 旅のスケッチ
あとがき/円空Q&A/この本で旅した円空スポット

■『円空を旅する
著:井上雄彦
価格:2,200円(+税)
発売日:2015年10月24日(土)
発行:美術出版社