秋の夜長、半身浴のおともに「哲学」を!? 教養人たちの間でひそかに流行るフロソフィー

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17

 最近、素敵な教養人たちの間で、哲学をおともにお風呂に入るのがひそかな話題を呼んでいるって知ってますか? て……哲学? きっかけはいとうせいこうさんがツイッターでつぶやいたこのひとこと。

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 これをきっかけに、「私はお風呂でドゥルーズを見るためにポータブルDVDプレーヤーを買いました!」「これからお風呂でアベセデール」「風呂でアベセデール鑑賞,文化的で憧れる」と呼応する人がたくさん現れました。

 字幕翻訳者の一人である千葉雅也さんも、こんなふうにツイートしています。

 

 それに対するいとうせいこうさんのリプライ。

 

 さて、みなさんがお風呂で楽しんでいるという「アベセデール」とは?

 今年で没後20年を迎えるフランスの哲学者、ジル・ドゥルーズ。現代思想を学ぶ人にとって避けては通れない学者の一人ですが、彼が、教え子であるクレール・パルネに頼まれて、「死後公開であれば」という条件で引き受けたインタビューがこの「アベセデール」なのです。

 AからZのアルファベットごとにAなら「Animal」(動物)、Bなら「Boisson」(飲酒)とテーマを付して、堅いものから柔らかいものまで様々なことを語ります。

 教え子相手にリラックスしてわかりやすく哲学の話をするドゥルーズの様子が、お風呂に入ったりお酒を飲んだりしながらゆっくり観るのに適していますし、全部で453分の大ボリュームでありながら、一つ一つの項目は10分や20分で見終わるということも、お風呂で一日一項目ずつ観る、というスタイルに合っているのかもしれませんね。

 

日本の哲学界をけん引する國分功一郎氏と千葉雅也氏が「アベセデール」の魅力を語る

 活字では難解とされるドゥルーズの文章ですが、インタビューはとても明快。「哲学」という言葉からイメージしがちな「人間とは何か」「愛とは何か」というような抽象的な話しだけでなく「猫はすりよってくるから嫌いだ」とか、「タクシーの中は公共の場所だと思う?」とか、具体的な話がたくさんあって、まさに「手に届くところにある哲学」。哲学に素養がなくても、じゅうぶんに理解できます。

 みなさんも、秋の夜長を、素敵な哲学おじさんのインタビューをおともにリラックスして“フロソフィー”を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』

ジル・ドゥルーズ (著), 國分 功一郎 (監修)

没後20年。今ここによみがえる、ジル・ドゥルーズの珠玉の言葉たち! AはAnimal(動物)、BはBoisson(飲酒)……。AからZのアルファベットごとのテーマでインタビュー。文章では難解な哲学が、飾らない言葉で語られる最上級の知的エンターテインメント! 字幕翻訳チームには國分功一郎氏、千葉雅也氏などのメンバーを迎え、解説ブックには内容解説のほかに両氏の対談も収録した豪華保存版。