巨匠・森村誠一の新たな代表作が誕生! 作家生活50周年記念作品『運命の花びら』

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17


 『人間の証明』『野性の証明』などで一時代を築き、今なお文学界を牽引する大家、森村誠一。1965年にビジネス書『サラリーマン悪徳セミナー』でデビューした同氏は、2015年に作家生活50周年を迎える。森村の縦横無尽の活躍には、時代を共に創ってきた作家からも絶賛の声が寄せられている。

今もっとも求められているのは森村誠一作品に代表されるような日本人の良心が噴出する物語である。内田康夫

作家生活半世紀を迎えてなお前進することをやめない。私はいつまでも森村さんの背中を追い続けることになりそうです赤川次郎

森村さんが書き続けているのは 全く生きている日本の歴史である。西村京太郎

 そして、作家生活50周年記念作品として『運命の花びら』が2015年10月30日(金)に発売された。同書は300年の時を超えて結実した運命の愛を描いた重層的恋愛小説。「赤穂浪士討入事件」、「二・二六事件」から「九・一一」「東日本大震災」といった日本の歴史の節目に、かつて時代に引き裂かれた恋人の末裔たちが幾度も巡り会う姿を描いた大河ロマンだ。

 作家生活の節目となる2015年は、各出版社から例年より多くの森村作品が発売され、「50周年記念ロゴ」を全社共通として帯に記載するなど、出版社の垣根を越えた取り組みが行なわれている。『運命の花びら』を発行するKADOKAWAでは、2015年の2月・3月に、角川文庫連続8作復刊企画を敢行。カバーもリニューアルし、豪華な8名の作家の推薦コメントとともに刊行した記念企画は大きな話題となった。

advertisement

<復刊した8作品>
『人間の証明』(宮部みゆき推薦)/『野性の証明』(今野敏推薦)/『高層の死角』(湊かなえ推薦)/『超高層ホテル殺人事件』(東野圭吾推薦)/『腐蝕の構造』(林真理子推薦)/『終着駅』(北方謙三推薦)/『吉良忠臣蔵』(上・下)(京極夏彦・上田秀人推薦)

 圧倒的なスケールを誇る50周年記念作品『運命の花びら』は、通算398冊の著作となる森村の、長きに渡る作家生活の一つの集大成とも言えるだろう。常に時代の先頭を走り続ける著者の新たな代表作として必読の書となりそうだ。

■『運命の花びら』上・下
著:森村誠一
価格:各1,900円(税別)
発売日:2015年10月30日(金)
ページ数:上376ページ 下:400ページ
発行:KADOKAWA

亡君の仇討ちを胸に秘めた赤穂浪士・前原伊助は、吉良家の奥女中・千尋と許されざる恋に落ちてしまう。いずれも主家を捨て、2人の恋を達成すべきかと思い悩むが、吉良邸への討ち入りは予定通り決行される。討ち入りの夜、再会した2人は声なき声を交わして別れた。「いつの日か、自分たちの末裔が後の世に出会って、実らざる恋を達成するだろう」これ以後、日本の歴史の転換期に、ふたりの家系に連なる者たちが幾度も出会うのだった。300年の時代を超えて現代に巡り会った男女は、ついに運命の日を迎える――。


森村誠一(もりむら・せいいち)
1933年埼玉県生まれ。青山学院大学卒業後、9年余のホテルマン生活を経て作家活動に入る。『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞、『腐蝕の構造』で第26回日本推理作家協会賞、『人間の証明』で第3回角川小説賞を受賞し、『悪魔の飽食』『野性の証明』など数多くのベストセラー作品を発表した。2004年には第7回日本ミステリー文学大賞を受賞し、社会派推理小説の世界で不動の地位を築く。11年には『悪道』で第45回吉川英治文学賞を受賞。近著に『南十字星の誓い』、『祈りの証明 3.11の奇跡』など。