【動画アリ】猫なのにたらこ唇! 大人気絵本「ノラネコぐんだん」が可愛すぎる!

マンガ

更新日:2015/11/6


『ノラネコぐんだん おすしやさん』(工藤ノリコ/白泉社<コドモエのえほん>)

 ま~ったく、困ったワルモノたちが絵本の世界で大暴れしている。その名も“ノラネコぐんだん”! 悪そうな顔をした、8匹の黄色いノラネコたちは、ワンワンちゃんの職場を狙っては、たびたび大事件を起こす問題ネコぐんだんなのである。

 ヤツらが引き起こす大騒動の日々をあますところなく描いた「ノラネコぐんだん」シリーズが、ちびっこのみならず、オトナ女子をとりこにしているという。

 MOE絵本屋さん大賞に2年連続で上位ランクインした『ノラネコぐんだん パンこうじょう』(2013)、『ノラネコぐんだん きしゃぽっぽ』(2014)は大ヒット。勢いにのるこのシリーズは、11月6日に発売される第3弾『ノラネコぐんだん おすしやさん』(工藤ノリコ/白泉社<コドモエのえほん>)で累計20万部突破となる。

advertisement
窓越しにノラネコぐんだんの姿が…

 その魅力は「愛嬌たっぷりのキャラクターたち」と「ユーモアあるストーリー」だ。主役のノラネコぐんだんは皆、むっちりフォルムに、タラコ唇を備え同じ顔。しれっとトボケた表情からは、その悪だくみを見抜くことはできない。ノラネコぐんだんに狙われるワンワンちゃんは、淡々と仕事をこなす職人気質のまじめな犬。他にも、お手伝いをするニワトリ(実はロボットらしい)や鳩、客でやってくる動物や人間たちも皆、いい味を出している。LINEスタンプがあったら、即買い間違いなし!(工藤さん、白泉社さん、ぜひご検討を!)

 キャラ同様、ストーリーもどこかユーモラスでとぼけている。
 悪だくみは「ワンワンちゃんの職場を物陰からコッソリ見ること」から始まる。まじめに働くワンワンちゃんに嫉妬しているのか、単なるいたずら心によるものなのか、ノラネコぐんだんはいつもワンワンちゃんの職場に入り込んで、事件を起こす。

 最初は、ワンワンちゃんのパン屋だった。とても美味しそうなパンが並ぶ店内を覗いて「ニャー、パン おいしそう」「ニャー、パン たべたいね」と、淡々と盛り上がったノラネコぐんだんは、客として買いに行かず――「パン、ああやってつくるんだね」「かんたんだね」「かんたんだよ」と、なぜか自分たちで作るほうに盛り上がる。真夜中。ほっかむりをしたノラネコぐんだんはパン屋に忍び込み、勝手に材料と焼き窯を使ってパンを作った。しかし、大量の材料で作った巨大なパンは、釜の中で思い切りふくらんで――ドカーン!

『ノラネコぐんだん パンこうじょう』
『ノラネコぐんだん きしゃぽっぽ』

 二度めは、ワンワンちゃんの蒸気機関車。おやまの農場で穫れた野菜や果物を積み込み、ひと休みしているワンワンちゃんの目を盗み、「ニャー、きしゃ かっこいい」「ニャー、きしゃ のりたいね」と汽車を勝手に運転! トロッコに飛び乗ったワンワンちゃんから逃げ切って、「おなかすいたね」。荷台で見つけたとうもろこしを火室にぼんぼん放り込んで、やきとうもろこしを作ろうとするが――コーンがふくらんでドカーン!

 毎度まいど、大爆発とともに悪だくみは失敗に終わり、あっけなくワンワンちゃんに捕まるノラネコぐんだん。ワンワンちゃんの前に正座させられて、叱られる場面は笑いがこみあげてきて吹き出してしまう。

「こんなことをして いいとおもってるんですか?」
「いいと おもってません」「ニャー」
「では、わるいことをしたと おもっていますか?」
「おもいます」「ニャーニャー」
「よろしい。それじゃ これからしごとをしてもらいます」

 大爆発でワンワンちゃんの職場は吹き飛んでしまうけれど、巨大なパンやポップコーンという副産物をもたらし、それを売ることでノラネコぐんだんは罪を償う。最後にもうひとオチが待っているが――それは、読んでのおたのしみ。

 そして、本作で、みたびノラネコぐんだんが目を付けたのは、美味しそうなおすしがクルクル回る、ワンワンちゃんの「おすしやさん」。またしても夜中に忍び込んだノラネコぐんだんは、今度はどんな悪さをはたらくのか? ノラネコぐんだんは、ワンワンちゃんの目を盗んでおすしを食べられるのか? ワンワンちゃんのお店はどうやって大爆発するのか? 『ノラネコぐんだん おすしやさん』は、みどころ笑いどころたっぷりの特上ネタでいっぱい。

 お子さんと一緒に読むもよし、飼い猫を抱っこしながら読むもよし、仕事疲れの夜にクスッと笑いたいときに読むもよし。楽しい気持ちで本を読み終えたなら、そっと窓際を見てみよう。とぼけた8匹のノラネコたちが、あなたの部屋を覗いていたら要注意!

 「ニャー、えほん おもしろそう」「ニャー、えほん よみたいね」
 次に大爆発するのは、あなたの本棚かもしれない。ニャンてね。

文=水陶マコト