新たな旅の楽しみに? 全国各地のお寺のみどころ探索

社会

2015/11/18


『名寺古刹みどころ事典』(みわ明/東京堂出版)

 観光寺という言葉があるほど、日本のお寺は観光スポットとして人気を集めています。しかし、いざお寺に行こうと思ってもあちらにあり、こちらにもあり、そちらにもあり、どこから行けばいいのか分からなくなってしまうこともあるかもしれません。また、せっかくお寺に出向いても、みどころが分からず、最終的にぐるりと見て回っただけで帰路についてしまうことも、ありえないわけではありません。事前にみどころをチェックできればいいのですが、誰でも閲覧できるインターネットでは情報が少ないお寺もしばしばあります。

 そこで、お寺巡りの友として『名寺古刹みどころ事典』(みわ明/東京堂出版)を紹介します。金閣寺・清水寺などのメジャーなお寺は勿論ですが「え? こんなお寺あったの?」というような場所まで網羅されているうえ、そのお寺が関わる年中行事なども掲載されているので、旅行好き・お寺好きだけでなく、祭り好きの目にもとまるかと思います。ここでは、相国寺・四天王寺・清水寺について同書から紹介します。

 相国寺は、京都市にある臨済宗のお寺です。宗派なんて言われても分からない、という方も多いでしょうが、実はかの有名な金閣寺と銀閣寺も同じ臨済宗のお寺……それも、この相国寺派に連なるものなのです。つまり、相国寺は金閣・銀閣寺の上に位置しているお寺なのですね。京都五山の第2位に数えられていることもあり、規模はかなりのものを誇っています。境内には緑の松が豊かに茂っており。寺宝を公開する場として「承天閣美術館」も設置されており、本堂も国の重要文化財に指定されています。

 四天王寺は大阪に建つお寺で、推古元年(593年)に聖徳太子が創建したとされる日本最古の官寺です。中門、五十塔、金堂、講堂が南北に並ぶ特徴的な様式を持っており、全体的に朱塗りの柱・白壁・瓦葺きの屋根などの色調が、飛鳥時代を感じさせます。聖徳太子に対する信仰(太子信仰)を集めているお寺であるため、宗派を問わず人気があり、そのせいかどうかは分かりませんが年中行事も豊富です。例えば、1月に行われる「生身供」です。これは聖徳太子の生誕を祝う行事なので、太子信仰が集まっている四天王寺の代表行事といってもいいかもしれません。また、同じく1月の14日には、通称「どやどや」と呼ばれる修正会結願法要が行われます。これは、下帯姿となった青年たちが赤と白の組に分かれ「どやどや」の掛け声と共に厄除けの護符を奪い合うという、なんとも血気あふれる行事です。

 清水寺というと、京都のあの清水寺を思い浮かべる人が大半でしょう。その寺について、わざわざ説明されなくてもよく知っている、という方も多いと思います。しかし、清水寺は1つではない……ということはご存じでしょうか。観光地としてよく知られている京都の他に、千葉・兵庫・福岡・島根と、京都を含めて各地に計5つの清水寺があるのです。ちなみに、京都のもの以外は全て天台宗のお寺で、京都の清水寺は北法相宗というちょっと聞き慣れない宗派の総本山です。

 千葉の清水寺は、いすみ市にあり、本堂の前には霊水が湧き出ているとされる「千尋の池」があります。

 兵庫県加東市にある清水寺には、大講堂である本堂の周囲に回廊があり、そこからは瀬戸内海に面する播州平野が広がっています。

 福岡の清水寺は、みやま市にあり、室町時代に画僧の雪舟が造園したとも伝わる清水寺本坊庭園があります。前庭には、歌人・北原白秋の歌碑も立っており、歴史の趣を感じさせる地と言えるかもしれません。

 島根の清水寺は、安来市にあり、厄払いの観音様として参詣者が訪れています。綺麗で壮大な自然風景というよりも、むしろ三重塔・鐘楼・宝蔵などが立ち並んでいる様に注目したいお寺です。

 今回取り上げた『名寺古刹みどころ事典』には、他にもあらゆるお寺の名称・宗派・立地・年中行事・簡単なアクセスなどが記されており、旅好き・お寺好きには手放せない情報が満載です。事典というだけあって、持ち運ぶというよりも、本棚に常備することで力になるタイプと言えます。旅行雑誌の隣に置いてみると「旅行先にこんなお寺がある」ということを簡単に調べることができて、旅行プランを立てる楽しみが益々増えるかもしれません。

文=柚兎