47年間一度も休載なし!『ゴルゴ13』最新179巻でゴルゴ13が遂行する新たな4つのミッションとは?

マンガ

更新日:2015/12/4

 狙った標的は逃さない。不可能を可能にする超A級スナイパー・ゴルゴ13がこの世で初めて確認されたのは、1968年11月。実に、今から47年前のことである。「ゴルゴダの丘で、主イエスにいばらの冠を被せ、十字架にかけた13番目の男」といわれている不吉なコードネームを持つゴルゴ13は、国籍・出身地・本名、すべて不明。デューク東郷と名乗るその男は、この世界の歴史の裏側で仕事を続けている。

 依頼人が真実さえ語っていれば、イデオロギーも善悪も関係なく、高額で仕事を請け負い、必ず成功させる。「狙われたらアメリカ大統領でも助からない」と言われる腕前を持つ、裏社会最強最高のプロフェッショナルだ。

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 その恐るべき暗殺者の暗躍を描いた『ゴルゴ13』(さいとう・たかを/リイド社)の最新刊・第179巻には、新たな4つの依頼が収録されている。

 サブプライムローン、リーマン・ショックに揺れ、金融危機が深刻化するアメリカで、資金供給を巡って対立する政府と大手銀行・巨大保険会社との攻防を描く「恐慌前夜」。軍事大国スイスに潜り込んだスパイを暗殺し、同時に情報漏えいを防ごうとするゴルゴの前に決死の技術が立ちはだかる「疑惑のペースメーカー」。北京オリンピック・陸上100m走での金メダル獲得に取り憑かれたスパイク開発者とコーチからの奇妙な依頼を請ける「獣の爪を折れ」。そして、テロリストやテロ容疑者を収容し、拷問を行うアメリカ合衆国連邦グアンタナモ海軍基地に潜入し、密告者を見つけて暗殺するという危険な依頼を描いた「グアンタナモの地雷原」。

 金融、スポーツ、軍事機密、国防と業界も国も依頼者の狙いも全く異なる状況下で、共通するのは「ゴルゴ13以外には成し得ないであろう、困難な依頼」だということ。

 ゴルゴ13が関わる以上、成功するのはわかっている。それでも、その仕事のひとつひとつが単調な出来事に終わらないのは、依頼に関わる人間たちの野望や欲望、我々が知らない社会の裏側で蠢く権力や金、世界を覆しかねないスケールの大きな状況が用意されているからだ。

 そして、その不可能ミッションを、表情ひとつ変えずに遂行するゴルゴ13の超A級の完璧な腕前、一発の弾丸が、読者の心をも撃ち抜くのだ。

 また、『ゴルゴ13』には彼なりの「信条」も各エピソードに散りばめられている。背後に立つことを許さない、握手はしない、時間厳守、危機管理能力と自らの安全への“保険”、あらゆる軍事機密への精通、使用する銃器や弾丸へのこだわり。一方で、冷徹なプロであり、依頼に自分の意思は挟まない男でありながら、数少ない言葉に見え隠れする、人間臭さ。第179巻の一冊だけでも、十二分に『ゴルゴ13』の世界を堪能できる。

 第1話「ビッグ・セイフ作戦」に始まった『ゴルゴ13』の連載は、今まで一度も休載することなく続いている。「依頼人との約束は守る」というゴルゴ13の信条は、「締切りを守るのはプロとしての最低条件である」という著者さいとう・たかを氏の信条そのものなのだ。「超A級劇画家のスーパー・アクション!」を、その目で確かめてもらいたい。

文=水陶マコト


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