ドストエフスキー未完の傑作が、ミリオンセラー翻訳者の手によって完結! 舞台は19世紀ロシアから現代日本へ―

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17


135年の時を経て、あの名作の謎が解かれる―

 「世界文学最高作」と言われるドストエフスキーの傑作『カラマーゾフの兄弟』。ミリオンセラーの翻訳者・亀山郁夫が、舞台を19世紀ロシアから現代日本に移し完結させたノンストップ・ミステリー巨篇『新カラマーゾフの兄弟』(上・下)が、2015年11月に発売された。

 ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は、じつは未完の小説だった!? ドストエフスキーが予告しながら書けなかった、いわゆる「第2の小説」を、すでに発表された「第1の小説」と合体し、現代日本を舞台に完結編を書き上げたのが『新カラマーゾフの兄弟』だ。

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 舞台は、1995年の日本。この年は、神戸の震災、地下鉄サリン事件の起きた年。物語は、13年前に謎の死をとげた父の遺した黒木家の遺産分割についての話し合いから始まっている。

 日本の翻訳者・亀山郁夫がドストエフスキーの遺志を継ぎ、続編でもパロディでもない、正当なる「完結編」を試みている。小説には、ドストエフスキー自身と、速記者でもあった妻アンナと思しき人物も登場し、対話を繰り広げる。また、『カラマーゾフの兄弟』の根本的な理解につながる最高の謎解き本ともなっており、世界中が夢見た名作の「真の解決」を、いま我々は初めて目にすることができる。

見事に造形された人物群像、濃密で精気あふるる描写、巧みなストーリーテリング。亀山郁夫にはドストエフスキーが憑依している。とてつもない大仕事辻原登

ドストエフスキーの読解がそのまま人生である著者だからこそ書けた、壮大なメタ批評にしてメタ私小説。これは文学的事件だ。東浩紀

常人の業ではない。亀山郁夫によるドストエフスキー殺しだ。あまりに優雅で、見事で、面白く、恐ろしい。沼野充義

人間が生きていることの意味を根源から問い、長編小説の面白さを満喫させてくれる傑作。すべての読書人に勧める。佐藤優

 また、『新カラマーゾフの兄弟』の刊行を記念して、亀山郁夫と中村文則の対談イベントも開催される。

<亀山郁夫『新カラマーゾフの兄弟』刊行記念イベント>
亀山郁夫×中村文則 ドストエフスキー超入門対談
父なき国の「父殺しミステリー」の謎を解く!
日程:2015年12月1日(火)
時間:19:00~20:30 開場18:30~
料金:1,080円(税込)
会場:青山ブックセンター本店
⇒「青山ブックセンター」公式サイト

■『新カラマーゾフの兄弟』(上・下)
著:亀山郁夫
価格:上巻1,900円/下巻2,100円(+税)
発売日:2015年11月20日(金)
仕様:46判/上672頁/下776頁
出版社:河出書房新社


亀山 郁夫(かめやま・いくお)
1949年栃木県生まれ。ロシア文学者。名古屋外国語大学学長。『磔のロシア』で大佛次郎賞、『謎とき『悪霊』』で読売文学賞。ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』の新訳はミリオンセラーとなり、本国ロシアからプーシキン賞を贈られた。『磔のロシア』『謎とき『悪霊』』他著書多数。